高齢者・障害者、そして児童も施設から地域生活へ~地域包括ケアシステムに必要な児童福祉の視点~

11/03/2022

ニュース解説 地域包括ケアシステム

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 2018年7月3日のことだが、総務省「自治体戦略2040構想研究会」がある報告書をまとめた。その報告書には、2040年に至るまでの地方の課題とその対応策についてまとめられている。その報告書には2040年にかけての人口推移予測が掲載されている。2040年にかけ、100万人以上の都市で人口が増えるのはさいたま市(埼玉県)・川崎市(神奈川県)・福岡市(福岡県)であるとされている。



さいたま市や川崎市は何となくイメージが湧く。福岡市についてはどうだろうか。個人的にはとても理解できる。人口の伸びを考えていく上で、個人的に大事だと思うのが、女性の住みやすさだと思う。住みやすさとは、治安や働く場が充実していること、ファッション等も含めて女性を意識した街作り、育児環境の整備、などと個人的に考えている。福岡はそれらが比較的充実している印象だ。そして、もう一つ、福岡市が最近注目されているのが、児童福祉に関すること。例えば、福岡市は近年里親委託率を大きく伸ばし、新潟に次いで2位となっている。その委託率の伸びは驚異的ともいわれている。


福岡市で活動する「NPO法人子どもの村JAPAN」という団体では、子ども養育はもとより、里親教育の支援やヤングケアラー支援など行われている。行政ではなく、NPO法人という民間で行われているところ、そして、施設の中ではなく地域の中で暮らしいていくという視点が注目を集めている。医療・介護の領域でも、自立支援を通じて施設から在宅へ促すことで、これから減少していく労働力を補うと共に、地域での看取り・生活の維持をテーマとした様々な改革が行われているところだが、児童福祉の領域においても同様だ。特に、児童については先の長い未来がある。

なお、里親制度とよく勘違いされるのが養子縁組制度。里親制度は児童福祉法、養子縁組制度は民法。


本年6月、改正児童福祉法が成立し、令和6年度より施行される。その中身は、近年大きく報道される児童虐待対策に関することに重きが置かれている。社会福祉士や精神保健福祉士のような新たな専門国家資格「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー」についても検討されていたが、民間資格として令和6年度はスタートし、その2年後に改めて国家資格化に向けた検討をすることとなっている。
この児童福祉法については、平成28年に大改革が行われている。そのポイントは、児童虐待に対する対策もさることながら、児童を主語に、施設から家庭により近い環境作りの「家庭養育優先」といったもの。それまでの児童福祉法は、第二次世界大戦直後に作られたもので、戦災孤児の収容を意識した内容であったといえるものだった。そのため、児童は受け身の立場で、施設での生活が基本となっていた。そこで、平成28年の大改革では、受け身から主体へと大きく変わり、家庭養育優先へとなった。そのために、国・自治体の責務も明確にされた。


大改革から、6年が経過した。児童福祉も改めた地域包括ケアシステムの在り方を、令和6年度の大改革に向けて考えていく機運をつくっていきたいものだ。
合わせて、本稿冒頭で今後も人口増加が続く都市について、その理由や取り組みなど改めて確認しておきたい。

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