日本版クローバック制導入の可能性は?

4/28/2023

r6同時改定 経営 薬価制度 薬局

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 令和5年4月27日、「第12回 医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」が開催され、5月23日のとりまとめに向けた報告書案が公表された。昨今の安定供給問題への対応、後発医薬品推進の一方で希少疾病等に関する医薬品の薬価維持など意見が集約されている中で、流通取引に関するテーマも注目集めている。

タイトルにあるクローバック制というのは、購買益が一定金額以上になった場合に薬剤費の一部を政府に強制的に返還するもの。すなわち、一定水準を超えた薬価差を返還する、というもので、イギリスなどで薬局に対して導入されているもの(イギリスでは、内部留保として認められた購買益を超える購買益は償還価格から一定率を差し引いて国に戻している)。日本においても、薬局の大規模チェーン化や共同購買組織等による価格交渉代行などの影響もあり、とりわけ薬局での薬価との乖離率が大きくなっている(200床以上の病院も乖離率は大きい)ことから、薬局を対象として導入可能性を検討されている。とはいえ、薬局経営における一定の薬価差益を全否定するわけにはいかない。しかしながら、適切な市場流通の確保という観点からは、何らの対応が必要との考え方が優勢となっており、今回の報告書案にもクローバック制、という言葉はないが類する表現が織り込んである。



実際の導入に向けた調査を行っていく可能性が盛り込んである。

今の薬価制度は全国一律価格で償還することを原理原則としている。そのためか、調整幅も2%と設定されている。しかし、実際の医薬品流通のコストの医薬品卸間差・地域差はその2%を上回るとの報告もある。そこで、地域の実状(不採算の地域の状況も含む)や薬効、剤形別についてもう少し把握したうえで、それに実態を合わせた形での調整幅の考え方が必要になってくると考える。

薬価制度改革は国の予算編成にも大きな影響を与えるものでもある。骨太方針や春の建議への記載も含めて注視しておきたい今年の重要なテーマだ。

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