生活習慣病管理料への対応を改めて考える② ~併算定、主病名、療養指導計画書の運用、長期処方など~

7/21/2024

r6同時改定 かかりつけ医機能 外来診療 経営 保険者

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令和6年度診療報酬改定が実施されて、1.5カ月が経過した。今回の診療報酬改定での注目の一つといえる「生活習慣病管理料」に関連したよく受ける相談等について、私の経験と考えをもとに紹介したい。あくまでも参考程度に。

参考:

質問の多い特定疾患療養管理料と生活習慣病管理料を改めて。


〇主病名が糖尿病以外であれば「在宅自己注射指導管理料」の併算定は可能

糖尿病が主病名になっている場合は、在宅自己注射指導管理料の併算定は不可となるが、高血圧症、脂質異常症が主病名であれば併算定は可能となる。


〇CPAP(在宅持続陽圧呼吸指導管理料)との併算定は可能

主病名には関係なく併算定は可能。


〇複数の医療機関で疾病ごとに生活習慣病管理料の算定は可能

例えば患者Xさんが、A診療所では高血圧症、B診療所では糖尿病で生活習慣病管理料をそれぞれ算定することは可能。ただし、患者さんの負担も重くなるので、症状によっては長期処方やオンライン診療の利用も検討したい。


〇主病名について、難病外来指導管理料等にも注意を

生活習慣病管理料と特定疾患療養管理料だけではなく、難病外来指導管理料にも注意が必要。他にも、てんかん指導料や皮膚科特定疾患指導管理料も併算定は不可になる。


〇療養指導計画書の署名は医師以外でも構わない。診察時間外の有効活用を。

療養指導計画書は、生活習慣病患者が治療に参画してもらうためのコミュニケーションのツールと考えることが必要。生活習慣病管理料は、重症化対策が目的で、人工透析の新規導入を一日でも遅くさせることで、医療費の抑制や医療従事者の負担を軽減・働き方改革を間接的に実現するためだ。そのためにも、初回には時間をかけ、2回目以降は進捗確認を中心にしていく。そのため、達成目標は比較的大きく時間をかける必要があるものを、行動目標は日常生活の中で実現可能性の高いもの(患者自身の日々の達成感を感じ、前向きに取り組める)を設定することがポイントだ。協会けんぽのホームページにある「生活習慣改善10か条」など参考になる。

なお、この療養指導計画書の署名については、医師が患者本人からもらう必要はないことが疑義解釈でも明らかにされている。そこで、①待合室で患者から事前に必要な情報収集をし、②得られた情報をもとに診療の中で話し合いをして療養指導計画書を作成し、③患者さんが診察を終えた後の会計の待ち時間などを利用して署名をもらう、などの流れも一つの選択肢になる。また、初診の患者で次回以降に生活習慣病管理料を算定する患者の場合は、初診の最後に療養指導計画書等を示して、達成目標や行動目標を立案すること、署名の必要性について事前に伝えておくことで効率化できるだろう。


〇長期処方・リフィル処方箋に関する注意点

第4期医療費適正化計画では、リフィル処方箋の積極的な推進がうたわれている。保険者から年に1回程度だが、被保険者に対して後発医薬品への切替を進めるようなハガキが届くが、今後は長期処方・リフィル処方箋への切替を進めるようなハガキが送られることが増える可能性がある。医師の意向とは関係なく、患者さん側から長期処方・リフィル処方箋の要望が出てくる機会が増えることになる。生活習慣病管理料等では、患者さんからの長期処方・リフィル処方箋への要望に応じること、となっているが、「応じること」とは長期処方・リフィル処方を実施しなければならない、ということではなく、要望を聞き、医師が判断してください、という意味だ。なので、患者さんからの要望があることを前提にした備えが必要だ。患者に説明できるフローチャートなど用意をしておきたい。


なお、リフィル処方箋については注意が必要だ。患者さんが紛失してしまった場合、処方箋の再発行の費用は全額自己負担になるケースや再受診が必要になるケースもある。疾病や症状、患者の年齢なども十分に確認して対応することが必要だ。

長期処方・リフィル処方箋については、勤労世代の患者を中心に要望は増えてくることを前提に考えた経営を意識しておきたい。それは、医療機関の規模に関係なく、図べ手の医療機関においても同様だ。長期処方・リフィル処方の患者が増えることで、受診頻度が下がり、医業収入も下がることになる。ただし、受診頻度が下がることで、医師等の時間が増える。

新たな事業展開(専門外来やかかりつけの患者への往診、健診、自由診療など)の機会が生まれると前向きにとらえていきたい。

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