かかりつけ医機能報告制度、1号機能・2号機能に求める報告内容等が大筋で決まる。

7/22/2024

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 令和6年7月19日、厚生労働省にて第8回 かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会が開催され、これまでのかかりつけ医機能報告制度をめぐる議論の整理が行われた。注目されていた1号機能(継続的な医療を要する者に対する発生頻度が高い疾患に係る診療その他の日常的な診療を総合的かつ継続的に行う機能)についての報告内容もほぼ決まり、今後策定されるかかりつけ医機能に関する研修カリキュラムの修了については必須とはせず、当該医療機関に研修修了者の有無の報告でよいこととなった。ただし、改正医療法施行の5年後に状況を踏まえて検討をすることが記載されていることから、研修に関する要件についても対応を検討しておく必要があるのではないだろうか。

改めての確認だが、かかりつけ医機能報告については、本年4月より新たになった医療情報ネット<ナビイ>(参照:患者視点だけでなく、地域医療連携視点で「ナビイ」を見る、使う)を通じて令和8年度から公表される(令和8年1-3月中に都道府県に報告)。次回の診療報酬改定と同じタイミングのスタートになる。また、報告対象となるのは特定機能病院と歯科医療機関を除くすべての医療機関となる(参照:かかりつけ医機能報告制度の1号機能、医療機関に研修修了者の「有無」の報告で可へ)。

以下に1号機能と2号機能に関する報告内容の概要等を少し編集を加えて掲載する。


〇1号機能「継続的な医療を要する者に対する発生頻度が高い疾患に係る診療その他の日常的な診療を総合的かつ継続的に行う機能」

<当該機能に係る報告事項> ※以下の①~③のいずれも「可」の報告の場合は「1号機能を有する医療機関」として、2号機能の報告を行う。 

①「具体的な機能」を有すること及び「報告事項」について院内掲示により公表している 

②かかりつけ医機能に関する研修の修了者の有無、総合診療専門医の有無(有無を報告すれば可)

※改正医療法施行後5年を目途として、研修充実の状況等を踏まえ、かかりつけ医機能に関する研修の修了者がいること又は総合診療専門医がいることを報告することについて改めて検討する。   

③17の診療領域ごとの一次診療の対応可能の有無、いずれかの診療領域について一次診療を行うことができること(一次診療を行うことができる疾患も報告する) 医療に関する患者からの相談に応じることができること(継続的な医療を要する者への継続的な相談対応を含む)

※改正医療法施行後5年を目途として、制度の施行状況等を踏まえ、一次診療・患者相談対応に関する報告事項について改めて検討する。 

参考)17の診療領域について

 皮膚・形成外科領域、神経・脳血管領域、精神科・神経科領域、眼領域、耳鼻咽喉領域、呼吸器領域、消化器系領域、肝・胆道・膵臓領域、循環器系領域、腎・泌尿器系領域、産科領域、婦人科領域、乳腺領域、内分泌・代謝・栄養領域、血液・免疫系領域、筋・骨格系及び外傷領域、小児領域 

※報告できる疾患は、患者調査による推計外来患者数が多い傷病を基に検討して設定する。

<1号機能に関するその他報告事項> 

① 医師数、外来の看護師数、専門看護師・認定看護師・特定行為研修修了看護師数 

② かかりつけ医機能に関する研修の修了者数、総合診療専門医数 

③ 全国医療情報プラットフォームに参加・活用する体制の有無 ※4 オンライン資格確認を行う体制、オンライン資格確認等システムの活用により診療情報等を診察室等で閲覧・活用できる体制、電子処方箋により処方箋を発行できる体制、電子カルテ情報共有サービスにより取得される診療情報等を活用する体制 

④ 全国医療情報プラットフォームの参加・活用状況、服薬の一元管理の実施状況 


〇2号機能(1号機能を有する医療機関が行う報告)

ⅰ 通常の診療時間外の診療 

<具体的な機能>

通常の診療時間以外の時間に診療を行う機能

<当該機能に係る報告事項>※①~②のいずれかがある場合に当機能有り、とする

① 自院又は連携による通常の診療時間外の診療体制の確保状況(在宅当番医制 休日夜間急患センター等に参加、自院の連絡先を渡して随時対応、自院での一定の対応に加えて他医療機関と連携して随時対応等)、連携して確保する場合は連携医療機関の名称 

② 自院における時間外対応加算1~4の届出状況、時間外加算、深夜加算、休日加算の算定状況 


ⅱ 入退院時の支援 

<具体的な機能> 

在宅患者の後方支援病床を確保し、地域の退院ルールや地域連携クリティカルパスに参加し、入退院時に情報共有・共同指導を行う機能

<当該機能に係る報告事項>※①~④のいずれかがある場合に当機能有り、とする

① 自院又は連携による後方支援病床の確保状況、連携して確保する場合は連携医療機関の名称 

② 自院における入院時の情報共有の診療報酬項目の算定状況 

③ 自院における地域の退院ルールや地域連携クリティカルパスへの参加状況 

④ 自院における退院時の情報共有・共同指導の診療報酬項目の算定状況 ⑤ 特定機能病院・地域医療支援病院・紹介受診重点医療機関から紹介状により紹介を受けた外来患者数 


ⅲ 在宅医療の提供 

<具体的な機能> 

・ 在宅医療を提供する機能 

<当該機能に係る報告事項> ※①~④のいずれかがある場合に当機能有り、とする

① 自院又は連携による在宅医療を提供する体制の確保状況(自院で日中のみ、自院で24時間対応、自院での一定の対応に加えて連携して24時間対応等)、連携して確保する場合は連携医療機関の名称 

② 自院における訪問診療・往診・訪問看護の診療報酬項目の算定状況 

③ 自院における訪問看護指示料の算定状況 

④ 自院における在宅看取りの実施状況 


ⅳ 介護サービス等と連携した医療提供 

<具体的な機能> 

・ 介護サービス等の事業者と連携して医療を提供する機能  

<当該機能に係る報告事項> ※①~⑤のいずれかがある場合に当機能有り、とする

① 介護サービス等の事業者と連携して医療を提供する体制の確保状況(主治医意見書の作成、地域ケア会議・サービス担当者会議等への参加、ケアマネと相談機会設定等) 

② ケアマネへの情報共有・指導の診療報酬項目の算定状況 

③ 介護保険施設等における医療の提供状況(協力医療機関となっている施設の名称) 

④ 地域の医療介護情報共有システムの参加・活用状況 

⑤ ACPの実施状況 


<その他の報告事項> 

・ 健診、予防接種、地域活動(学校医、産業医、警察業務等)、学生・研修医・リカレント教育等の教育活動 等 

・ 1号機能及び2号機能の報告で「当該機能有り」と現時点でならない場合は、今後担う意向の有無 


今回の整理を踏まえ、社会保障審議会医療部会に報告され、最終的な取りまとめが行われることとなる。取りまとめが出た段階で今後の予定も含めて改めて解説をしたい。

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