医療情報ネット、通称「医療情報ネット」が本年4月より「ナビイ」という新たな愛称で新たにスタートした。基本的には、住民目線で医療機関・薬局を検索するものということもあり、モバイルでの利用も念頭に置いたユーザーフレンドリーな作りになったことは好感が持てる。また、これまでの医療情報ネットとは異なり、全都道府県統一した見せ方になっている。
これまでも、医療情報ネットの活用については紹介したことがあるが、今回新たになったナビイを改めて確認し、医療機関・薬局視点で地域医療連携で有用と考えられるポイントを確認してみたい。
参考:
かかりつけ医機能報告制度に向け、「伝わる」医療情報ネットを令和6年度より
診療所/病院編
院内処方の有無やジェネリック医薬品の処方の実施、電子処方箋の発行の可否についても項目がある。本年10月からの後発医薬品のある長期収載品の患者一部自己負担の対応の必要の有無などもわかる。
地域医療連携の担当窓口、地域医療連携パスの対応疾患、そしてかかりつけ医機能への対応状況が分かるようになっている。かかりつけ医機能への対応状況については、来年度からスタートするかかりつけ医機能報告制度を踏まえてのこと。退院先とすることで、在宅復帰後の連携も取りやすい医療機関としても見られることになる。かかりつけ医機能とは、地域住民から選ばれるだけではなく、同業者である医療機関からも選ばれるということになる。また、併設する介護保険サービスも掲載される。
従来通り対応可能な治療の内容と昨年1年間の実績も確認できる。
こちらも従来通り、一日当たり入院患者数・外来患者数、平均在院日数が掲載されている。これからの病床利用率や入院・外来のざっくりとした収入も計算もできる。参考値として「令和4年度病院機能別・制度別医療費等の状況」より入院・外来診療単価と病床稼働率を掲載する。
薬局編
従来通りに年間の処方箋枚数が掲載され、地域ケア会議等への参加状況や医療機関への服薬フォロー結果のフィードバック回数など掲載されている。退院時薬剤情報連携加算の連携先として、また外来診療でリフィル処方箋を実施するに際して注目したい項目だ。
地域連携隊に関する項目もかなり充実している。調剤基本料や地域支援体制加算の取得状況などもわかると共に、地域フォーミュラリへの取組状況までわかるようになっている。
なお、薬局の業務内容の項目にはリフィル処方箋への対応実績も掲載されている点に注目したい。
他にも、地域連携薬局の場合はその実績の詳細や、食品や配送サービスの実施及び費用についても掲載されている。住民視点としてもわかりやすく、医療機関としても食品や日用品、そして配送まで行える薬局であれば在宅の連携も優先的に検討していくことになるだろう。
地域医療連携の観点で有用と思える項目についてピックアップして紹介してみた。なお、医療機関・薬局について、施設情報も含めてまだすべて掲載済みではないようだ(令和6年4月8日時点)。日々登録は増えているのはわかる。専門用語なども多いため、住民視点での活用方法についてはまだアイディアが必要だが、住民にとっての「私のかかりつけ医機能の有る医療機関」「私のかかりつけ薬剤師機能の有る薬局」選びには有用なサイトになっていると感じる。さらなる情報の充実と、利便性の向上に期待が集まる。