病院機能別/医科診療所の診療科別の医療費の状況から読み解く
令和7年2月28日、「令和5年度病院機能別・制度別医療費等の状況」が公表された。令和5年度の病院における入院・入院外医療費の状況を伝えるもので、昨年12月には「令和5年度医科診療所の診療科別の医療費等の状況」も公表されていたところ。
参照:
医療保険データベース > 医療費の動向 > 結果の概要 > トピックス 令和6年度
病院機能別に入院及び入院外診療単価、稼働率を整理した。また、医科診療所の診療科別の診療単価等についても整理したので合わせてみてみよう。
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病院機能別の入院・入院外の診療単価等について
医療法による分類となっているので、改めて確認しておこう。一般病床とは、急性期病床とイコールではない。高度急性期~回復期までの範囲となる。よく、日本は急性期病床が多すぎる、などと言われることがあるが、多くは誤解だ。国際比較をするときに、一般病床で急性期病床の比較をしているのを目にする。ゆえに、国際的なズレが生じている。DPCで比較をすると、実はそれほど大きな差はないともいわれている。
参照:続・地域医療の再編を巡る話題(病床の基本的な考え方を整理します)
令和5年度の入院医療費について、前年度(令和4年度)と比較すると、特定機能病院・地域医療支援病院・DPC対象病院以外は減少していることが分かる。診療報酬の特例の影響や病床規模のダウンサイジングや機能転換などの影響も考えられる。入院外もほぼ同様の傾向だ。前年度の違いをみると、未就学児の対応が大きく減少している。
医科診療所の診療科別の診療単価等について
前年度(令和4年度)より減少している診療科に網掛けをしている。小児科と耳鼻咽喉科の減少幅が大きいことがよくわかる。一方で伸びが大きかったのは婦人科だ。働く女性がふえていることや婦人科健診の補助なども充実していることや、今後もお年を召された方(長寿の女性が多い)の受診も増えてくることも考えられる。医療資源が限られた地域では、女性の患者は多く、介護者がおむつ交換時の出血等で気づくこともよくあり、遠隔地からのオンライン診療による対応など今後ニーズは高まってくるのではないだろうか。
医科診療所の件数についても確認しよう。実は、婦人科の施設数が最も伸びている。働く女性が増えていることを考えると、器質性月経困難症等へ対応できる医療機関が身近にあることはとても有益で、社会全体の人手不足・働き方改革への貢献となる。
婦人科に次いで件数が増えているのが心療内科、そして精神科となっている。メンタルヘスへの対応や精神障害者の入院・施設からの地域移行の受け皿・ノーマライゼーションへの期待が高まるところだ。