令和8年度診療報酬改定の告示後、様々な質問や相談をいただく機会が多い。その中で、割と多いのが「心不全再入院予防継続管理料」に関するもの。しかしながら、現時点(令和8年4月17日)でもまだ不明確な点も多く、疑義解釈が発出されるのを私も待っている状況だ。

 「心不全再入院予防継続管理料」について、少し掘り下げて確認してみたい。


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特に対応が求められるのは、DPC対象病院

 心不全再入院予防継続管理料と合わせて確認しておかなければならないことがある。それは、DPCにおける再転棟ルールの見直しだ。令和8年度診療報酬改定では、再転棟については、転棟後の期間を問わず、原則として一連の入院として扱う、ということになった。

 今回の診療報酬改定に向けた議論の中で、DPC 対象病院のケアミックス化は進んでいることから、DPC対象病棟からの再転棟が起こりやすい状況になっていることが確認された。現行のルールでは、DPC対象病棟から退院した日の翌日又は転棟した日から起算して7日以内にDPC対象病棟に再入院(再転棟)した場合、同一の傷病等である場合は、一連の入院とみなすこととなっている。改めて再転棟に関する分析を行ったところ、8日目の再転棟が多いことが確認されたことへの対応だ。


参照:DPC/PDPSの4つの検討ポイント。内科系疾患をより反映するための重症度、医療・看護必要度の新たな対応の考え方が示される


 心不全については、入院治療後の再入院が多いと言われている。課題として考えられるのが、早期介入と退院後のフォローアップを継続して行っていくこと。ゆえに、最初に入院・治療を行う医療機関が単独ですべてを担うのではなく、同一地域内にある医療資源を有効活用する、すなわち地域全体で疾病管理をしていくということが求められる。言い換えれば、DPCは入院中のみ、退院後はDRGで管理していく、ともいえ、横連携型の診療報酬といえる。二次性骨折予防継続管理料やがんに関する連携の評価などの新たなカテゴリが増えた、ということだ。今後もこうした項目は増えていくことが考えられる。


参照:地域医療連携推進法人に対する横連携型の診療報酬とは? ~術前から退院、経過観察までの一連の治療を包括支払い~



心不全再入院継続管理料を確認する

 入院治療を行う医療機関を基点(管理料1)として、外来リハビリテーション(管理料1、2)、経過観察(管理料3)の一連の連携と対応を評価するのが心不全再入院予防継続管理料だ。




 なお、上記の図では保険薬局による調剤後薬剤管理指導料2が入っているが、心不全再入院予防継続管理料の算定においては必須ではない。ただ、外来に移行した際に服薬フォローアップを通じて、診療のドロップアウトを防ぐことや、有害事象の早期発見・介入をしていくには、薬局による服薬フォローアップは重要だ。調剤後薬剤管理指導料2は慢性心不全患者を対象とした調剤報酬なので、薬局にとってもメリットがある。できれば、心不全再入院予防継続管理料を算定していくにあたっては、薬局も連携に加えていくことをセットで考えたい。





 施設基準や要件について確認しておこう。




 管理料1及び2については、心大血管疾患リハビリテーションを行えること、心不全再入院予防チームを設置することが求められる。なお、心不全再入院予防チームは、心不全指導に関する一定の経験年数のある常勤医師、日本循環器学会「心不全療養指導士」や日本看護協会の認定看護師教育課程「慢性心不全看護」「心不全看護」などの研修を修了した看護師又は管理栄養士などで構成される必要がある。管理料3は、経過観察に当たる対応が求められる病院及び診療所だ。管理料3においても心不全再入院予防チームの設置が求められるが、看護師等については所定の研修等の要件はないが、管理料1又は2を届出る医療機関が主催する研修への参加が必要になる。


 注意点として確認しておきたいのが、栄養管理の観点だ。病院の場合は管理栄養士の配置もあり対応に問題はないだろうが、診療所の場合は管理栄養士を配置していないケースが多い。その場合、外来栄養食事指導料2を利用して、診療所と管理栄養士が配置されている医療機関もしくは栄養ケア・ステーションと連携をすることが必要になる。






 それから、特定疾患療養管理料(心不全を主病とする場合に限る。)及び地域包括診療料(慢性心不全以外の慢性疾患等も有する患者について算定する場合を除く。)は同月内に算定できない。そのため、管理料3の期間を終えた後から特定疾患療養管理料を算定することになると考えられる。生活習慣病管理料については、併算定はできないものと考えられる。生活習慣病管理料Ⅱにおいて、包括範囲からの除外項目になかったためだが、念のために今後の疑義解釈を待つ必要がある。

 なお、令和8年4月1日に発出された疑義解釈(その2)では、管理料1及び2を届出ている医療機関は管理料3の届出ができないこと、心不全再入院予防チームに求められる研修の考え方などが以下のように明らかにされている。


心不全管理に関する専門的な知識・技術を有する 医師、看護師又は保健師及び管理栄養士等を養成することを目的とした7 時間以上の研修で、以下の要件をすべて満たすものであること。
(1) 慢性心不全に関する一定の知識と経験を有する医師、看護師又は保 健師及び管理栄養士等を対象としていること。
 (2) 心不全の病態、薬物治療及び非薬物治療、療養指導、食事指導、運動指導並びに地域連携に関する内容が含まれていること。
 (3) 慢性心不全の管理に関する実習を含むこと。
 (4) 医療関係団体が主催し、研修の修了証が発行されていること。 


 しかし、まだわからないことも多々ある。例えば、管理料3を算定している期間中に再入院となった場合、入院先で改めて管理料1を算定できるのか、など。再入院予防が目的であるため、算定は難しそうに感じるが、引き続き疑義解釈を待つ必要があるだろう。


 心不全再入院予防継続管理料は、地域で疾病管理を行うというもの。心不全、それから二次性骨折予防継続管理料の対象となる骨粗鬆は本年から報告がはまっているかかりつけ医機能報告において、一次診療対応可能な傷病・診療領域にもあげられている。




 今後もこうした地域で行う疾病管理を評価する項目はかかりつけ医機能報告で求められる報告内容にあわせて増えていくこととなるだろう。かかりつけ医機能報告への積極的な参画と対応可能な領域の拡充や疾病ごとの連携体制の構築が各地で求められる。