生活習慣病管理料への対応を改めて考える
いよいよ6月から、令和6年度診療報酬改定が実施される。食費、電気代などの値上げもやむを得ないという雰囲気の中、受診に関する話題も様々なメディアで取り上げられ、同様の雰囲気を醸し出している(参考:6月から初・再診時に負担増 医療従事者の賃上げで―診療報酬改定<時事通信>)。実施直前においても、やはり生活習慣病管理料に関する相談は多くある印象だ。これまでも生活習慣病管理料に関する情報はお届してきたが、今回は6月からの実施ということでこれまでよりも十分に時間があることで、考える時間が多くあり、対応方針などに変化が続いている。私自身もいろいろな話を聞いたりしながら、考え方を常に見直し、アップデートをし、そして見直すことを繰り返している。
参考:
生活習慣病管理料Ⅱを算定する医療機関に求められる連携の視点と評価の整理
あくまでも私の把握している範囲になるが、実際の備えの状況などを踏まえて、参考の一つにでもしていただければと思い、ご紹介したい。
糖尿病患者を例にして、初診を含めて生活習慣病管理を6か月間診療する場合を見てみると、患者の状態(重症度だけではなく、経済も含めて)に応じて、いろんなパターンがある。生活習慣病の場合は、半年・1年単位での患者負担の違いなども検討し、本人に説明をすることも必要になってくるだろう。また、生活習慣病管理料ⅠとⅡの患者が同一医療機関内に混在してもよいことになっているので、診療時間のリソースを適正に配分するためのオンライン診療や長期処方の活用も視野に入れておきたい。
生活習慣病管理料Ⅱは、従来の特定疾患療養管理料とほぼ同様の考え方だ。検査が包括されていないため、オンライン診療ができるのがメリットになる。そのため、これまで特定疾患療養管理料で管理をしてきた一般診療所を主な対象としていると考えられる。外来栄養食事指導料や診療情報提供料など連携にまつわる項目の併算定が可能となっている(参照:生活習慣病管理料Ⅱを算定する医療機関に求められる連携の視点と評価の整理)。
なお、特定疾患療養管理料と異なり、月に1回しか算定ができない。基本的には、病状が安定している患者を対象としているともいえるが、生活習慣病に限らず頻回な検査が多い患者の場合などでも経営的側面から生活習慣病管理料Ⅱを選択することも考えておく必要がある。オンライン診療・長期処方への対応も可能であること、また同一医療機関内で生活習慣病管理料ⅠとⅡの患者が混在しても構わないことになっていることから、重症患者の割合が増えてきた場合は、意識的にオンライン診療・長期処方の患者割合を高めるなど調整し、重症患者の対応時間を創り出すことや、在宅医療や専門外来などの新規の取組を創出する時間を創り出すなども考えていきたい。
生活習慣病管理料ⅠとⅡでは、療養計画書の作成が必須で、初回は患者からの署名が必要だ(2回目以降は療養計画に大きな変更がなければ署名は不要)。生活習慣病管理料の算定を開始する初回に時間をかけて話をし、一般的に言えることについてはテンプレート化しつつ、患者の個別性が伝わるように計画へ反映して作ることが何よりも重要だ。オンライン診療・長期処方で管理をしていく場合は、服薬フォローをする薬局とも目標を共有していくことも考えたい。
実施後、様々な問題が多く出てくることが容易に考えられるので、新たな情報を得られたらお伝えしていきたい。本記事は、あくまでも、ご参考までに。