障害者に対する”合理的配慮”をすべての事業者に義務化

6/21/2023

ニュース解説 患者 経営

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 令和5年6月20日、内閣府は「令和5年版障害者白書」を公表した。今回の障害者白書は、来年度から施行される改正障害者差別解消法を大きく取り上げた内容となっているのが特徴だ。



障害者差別解消法は平成28年に施行されたもの。共生社会の実現を目的に、障害の有無に関係なく、当たり前の価値観を共有し、理解しあっていくためのもので、事業者に対して不当な差別的扱いをしないことは当然ながら、合理的配慮を努力義務としてきた。合理的配慮とは、障害のある方からの何らかの対応の要望に負担が重すぎない範囲で対応することを言う。例えば、バスや電車の乗り降りの際にスロープを使うことや筆記が困難な方の代筆をするなど。負担が重すぎない範囲で対応、とあるように負担が重いと感じる場合はその理由を説明したうえで、代替手段などの提案などをすることで理解を得るための努力が必要だ。この合理的配慮について、令和6年度からは事業者の義務になる。そのため、合理的配慮を行わなかった場合は、差別をした、ということになる。これまでは努力義務であったために、違反があっても行政からの指導・勧告になっていたが、今後は罰則規定が適用となる。ただここで難しいのは、合理的配慮の範囲だ。配慮の有無については、当事者の主観もあり判断が難しい。そこで、今後国で事例集などを作ることとなっている。



差別の受け止め方については、当事者だけではなく社会全体でも意識が変わってきていることを白書では記している。様々なテクノロジーの進化や社会の風潮の変化は、身体の障害だけではなく、社会との障害の解消にも大きく貢献し、人々の意識をも変えていることがよくわかる。日々の小さな変化には気づきにくいが、大きなスパンで見ると変化は大きい。


障害者差別解消法とは、身体の障害だけではなく、社会・世の中にある様々な障害を取り除く、または皆で乗り越えていく性格のものだと改めて感じさせられた。

なお、障害者白書では2025年度末を期限としたバリアフリー目標の現況と今後の予定など、数値目標なども明示して取り組んでいることを明らかにしている。特に医療機関では、地域医療構想の推進の一環での病院再編などと法定耐用年数の関係で建替えなど予定しているところも多いと考えられる。バリアフリー、よりもユニバーサルデザインを取り入れた対応を検討することを意識しておきたい。また、建替え等の予定はなくとも、バリアフリーの取組、それは何か新たな設備投資をするということだけではなく、障害のある方を待たせないような受診予定を提案するなどのレギュレーションの見直しをしていくことの対応も必要だろう。


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