外来医療に関する評価の焦点② ~かかりつけ医機能を地域で発揮する視点と診療の継続性向上に必要な患者の協力~

7/22/2023

r6同時改定 外来診療 経営 地域包括ケアシステム

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 令和5年7月20日、第4回 入院・外来医療等の調査・評価分科会が開催され、外来医療に関する現状報告と論点整理が行われた。医療資源を重点的に活用する外来の一つであり治療と仕事の両立支援の充実が求められる外来がん化学療法の今後 、そして生活習慣病等の診療の継続が主たるねらいとなるかかりつけ医機能・オンライン診療・疾病管理と2つに分けて本ブログではご紹介したい。「外来医療に関する評価の焦点① ~外来がん化学療法に関する医療費適正化の観点と地域経済に与える影響~」に続いて、診療の継続性向上という観点で見てみたい。


令和5年通常国会で改正医療法が成立し、かかりつけ医機能について盛り込まれることとなった。このかかりつけ医機能とは、主に生活習慣病を有する患者をイメージした、身近な相談相手となるものであり、何かあった時に対応してくれる医療機関といえる。しかし、生活習慣病を巡っては、「疾患管理」という視点も重要になる。かかりつけ医機能よりもやや専門的であり、患者の病気に焦点を当てて計画的に治療を継続していくことが主たるねらいとなる。診療報酬でいえば生活習慣病管理料が該当する。また、かかりつけ医機能ほどではないが、「療養上の管理」を行うという観点もある。これは診療報酬でいえば特定疾患療養管理料が該当する。


参照)令和6年度診療報酬改定の注目点の一つ「外来」の議論がはじまった


生活習慣病管理料については、前回改定で薬剤料が包括範囲から除外されることとなり、評価は下がったものの、治療管理においては医師だけではなく、看護師や薬剤師等と連携することが可能となり、医師の負担軽減となる見直しが行われたところ。しばらく算定する医療機関数は横ばい状態だったが、若干持ち直し増加に転じている。なお、糖尿病透析予防指導管理料などはオンライン診療での実施も可能となったが届出数・算定回数はやや横ばいで、底打ちの状態にあるようにも見えている。

特定疾患療養管理料については、非常に届出が多いことで知られている。対象となる疾患も多い。もっとも多いのは高血圧症だが、糖尿病患者を対象にして、あえて糖尿病透析予防指導管理料を算定せず外来食事栄養指導料を一緒に算定しているケースなどもよく見かける。診療報酬点数上のメリットや、実務経験のある職員の採用などが原因だといえる。


多くの医療機関が算定していることもあってか、審査も厳しいことでも知られている。テンプレートのようにどの患者にも同じ記載をしていれば当然にNGとなるので、きちんと患者ごとに個別性を反映した記録記載をしていくことが大切だ。なお、この特定疾患療養管理料は、オンライン診療でも対応可となっており、算定回数も多い。


また今回の議論では、かかりつけ医機能の一つとして位置づけられる時間外対応についても医学管理料ごとに状況確認が行われており、特定疾患療養管理料を算定する医療機関では特に時間外対応加算の届出が少ないことが明らかになっている。


改正医療法におけるかかりつけ医機能とは、医療機関単独でかかりつけ医機能を発揮するのではなく、地域の医療機関同士でかかりつけ医機能を分担し、地域をあげてかかりつけ医機能を発揮していこうというもの。そうした体制を作り上げていく上では、かかりつけ医機能の一つひとつをいかに多くの医療機関に担ってもらうかが重要となる。今回の結果が、次回の改定でどのように反映されることとなるか、多くの開業医が届出る項目でもあることから、注視しておきたい。

ところで、オンライン診療についても議論されている。オンライン診療はもともとは、対面診療を補完することが目的であったが、前回改定からはオンライン診療等の指針に基づけば初診からも評価されることとなった。さらに、COVID-19感染拡大に合わせて、初診からも実施できるように特例が設けられ、本年7月末まで実施されている。実際にどういった疾病の患者が多かったのか、初診・再診別に対面診療と比較して明らかにされている。




また、今回の議論で注目されるのは診療全体でオンライン診療の割合が5割を超える医療機関での実態だ。初診、再診いづれにおいても「不眠症」が上位にある。果たして適切な診療・処方となっているのか、次回改定に向けてオンライン診療の適切な運用・評価に注目が集まることとなるだろう。
なお、実際にオンライン診療を利用した患者の意見・感想も紹介されている。感染リスクを避けることができることには高い満足感がある一方で、対面診療ならでは検査や処置などが受けられないことに対する不満が高い結果となっている。


リフィル処方箋でも同様の不満があるとの結果が以前あったが、患者との対話・理解があってこそのオンライン診療・リフィル処方箋であることを改めて理解しておきたい。

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