令和5年7月20日、第4回 入院・外来医療等の調査・評価分科会が開催され、外来医療に関する現状報告と論点整理が行われた。医療資源を重点的に活用する外来の一つであり治療と仕事の両立支援の充実が求められる外来がん化学療法の今後 、そして生活習慣病等の診療の継続が主たるねらいとなるかかりつけ医機能・オンライン診療・疾病管理と2つに分けて本ブログではご紹介したい。まずは、外来がん化学療法について。
まず、改めて確認しておきたいのは来年度からの第四期医療費適正化計画にある入院から外来への移行について。具体的には白内障手術とがん化学療法があげられ、各都道府県で6年かけて外来への移行割合を高めることになる。当然ながら、診療報酬における外来移行の後押しがあることは容易に考えられるだろう。
がん化学療法については、前回の診療報酬改定で外来化学療法加算から切り離され、外来腫瘍化学療法診療料へとある意味で格上げされたところ。今回の議論の中では外来腫瘍化学療法診療料を届ていながらも、入院で化学療法を実施するケースが少なからず存在していることが明らかにされた。また、気がかかりなのは、急性期充実体制加算及び総合入院体制加算といった外来腫瘍化学療法診療料の届出が要件化されている病院においても入院で実施されているケースが実は少なくないことだ。
届出を要件化するのではなく、実績を問う内容へと変更されることが考えられるだろう。
なお、急性期充実体制加算と総合入院体制加算については、届出の地域差も指摘されている。高度急性期や周産期医療等の集約化が進んでいる地域とそうでない地域の差ともいえる一方で、過度な集約化は働き方改革を阻害したり、地域内での経営格差を生む弊害もある。地域医療構想調整会議での議論での承認を得ることが要件に加えられる、そんなことも考えられるのではないだろうか。
また、治療と仕事の両立を支援していくことも外来がん化学療法を継続していくには重要だ。特に人口減少が進む地方都市においては、労働力と労働量の減少は地域経済に与える影響も大きい。時間外対応の状況について確認されているが、診療所において外来腫瘍化学療法診療料を届出る医療機関では自院において速やかな対応ができる体制がある施設の割合が高くない。その一方で、連携している医療機関での対応ができる体制は取れている施設は多かった。また、療養・就労両立支援指導料の算定割合が高くないことも明らかにされている。
地域経済の維持・向上を考えていく上では、治療と仕事の両立は必須であり、医療機関によるサポートは重要だ。時間外・夜間の対応であったり、職場との連携などについて、診療報酬における高い評価や、外来腫瘍化学療法診療料と療養・就労両立支援指導料を一体的に行うことを高く評価することなど求められることになるだろう。
ところで、入院から外来移行についてはがん化学療法だけではなく、白内障手術も具体的に挙げられている。現在はまだ議論されていないが、地域包括ケア病床を有する病院での院内転棟割合を意識した積極的な白内障手術等が対象である短期滞在手術等基本料対象者の受入れなどには注意が必要だと考えられるだろう。地域包括ケア病床に期待されているのは、在宅や施設の医療的バックアップ機能であることが本来のあるべき姿と考えれば、次回改定では第四期医療費適正化計画の流れを受けて、受入れ対象除外となることなども考えられるかもしれない。