令和5年6月29日、第165回社会保障審議会・医療保険部会が開催され、令和6年度からの第四期医療費適正化計画に関する基本方針がまとめられた。基本的な考え方は、これまで本ブログでもご紹介してきたところだが、注目したいのは後発医薬品の使用促進について新たな局面に入ったといえる点だろう。ポイントとしては、①数量ベースから金額ベースに見直す、②バイオシミラーの目標値を医療費適正化計画に盛り込む、といったところだ。
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医療費適正化に向けた議論を確認 ~後発医薬品の推進、入院から外来診療への移行の促進など~
医療資源の投入量に差がある医療(外来化学療法やリフィル処方箋)を適正化~第4期医療費適正化計画、審議会で了承~
後発医薬品の使用促進策については、これまでは全都道府県で数量ベース・80%以上という目標が設定され、診療報酬・調剤報酬改定での一般名処方の点数引上げや後発医薬品使用体制加算の要件の見直しを通じた支援もあり、多くの都道府県でその目標は達成できている。
今回の話し合いでは、まだ達成できていない都道府県では引き続き数量ベース80%以上という目標を追うこととしながら、金額ベースの新たな目標設定を検討する方針だ。金額ベースでの現状を確認すると、確かに対応の余地があることはわかる。
そこで、春の建議と骨太方針2023にも記載された参照価格制度・薬剤費の一部自己負担の導入について、現実味を帯びてくる。
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春の建議「歴史的転機における財政」が公表。医療分野のポイントを確認します。
しかしながら、薬価改定は毎年おこなわれることから、その目標設定の在り方など気になる点もある。また目標が金額ベースとなり、参照価格制度も始めるとなると、後発医薬品の価格が高止まりするようなことがないかなど、余計な心配もある。金額ベースの目標設定をどう考えていくのか、引き続き注視していきたい。
また、バイオシミラーについては目標値を盛り込むこととなった(参照:バイオシミラーの目標は、「2029年度末までに80%以上置き換わった成分数が全体の成分数の60%以上」に。)。現在16成分のバイオシミラーがあるが、そのうち10成分で数量割合80%を超えるようにして、その10成分が全体の60%以上となることを目標とする。こちらは、診療報酬・調剤報酬上のが後押しが期待されるところであり、高額療養費制度の運用面での何らかのテコ入れが期待される。
なお、以前もお伝えしているが、後発医薬品の使用促進の一環としてのフォーミュラリの周知という文言が盛り込まれる。
診療報酬における評価と共に、病院薬剤師のかかわりが重要となってくることを考えると、病棟薬剤業務実施加算などでの新たな評価の拡充を通じて、病院薬剤師の人件費に貢献できるような点数設定であったり、DPCにおける新たな係数の設定など期待できるのではないだろうか。