令和7年6月30日、第15回薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会が開催されている。この検討会では、令和7年度通常国会で成立した改正薬機法における認定薬局の見直しに関して議論が行われている。


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専門医療機関連携薬局に新たな傷病区分の追加を検討

 現状では「がん」(癌という表記ではないので、悪性腫瘍全般を指す)のみが対象となっている専門医療機関連携薬局だが、今回の検討会ではHIVと医療的ケア児を新たに対象に加えることを検討すべく、有識者ヒヤリングが行われている。




 専門医療機関連携薬局の傷病区分については、専門薬剤師の認定が行われている領域をベースにして検討されているようだ。骨太の方針2025では、慢性腎臓病対策や女性の健康支援などが盛り込まれていたが、腎臓病薬物療法学会専門薬剤師や認定女性ヘルスケア専門薬剤師などがすでにあることから、可能性もある。また、難病についても検討されていたことがあったように記憶している。新たな傷病区分について、これからの議論を注目しておきたい。


地域連携薬局と健康増進支援薬局、個々の機能と地域・拠点で確保すべき機能の2軸で認定

 改正薬機法に伴い、健康増進支援薬局が認定薬局となる。そこで違いなどを明確にするため今回の検討会では、地域連携薬局と健康増進支援薬局(健康サポート薬局)の今後の認定基準について大まかな考え方が示された。



 それぞれの地域における役割に着目をして、必要な体制を求める「個々の薬局に必要な機能」と必要に応じて実績数も求める「地域・拠点で確保すべき機能」の区分を設けて、認定をしていく方針だ。災害・新興感染症対応と高度薬学管理機能は「地域・拠点で確保すべき機能」の一部とし、地域連携薬局と健康増進支援薬局それぞれに求める。




 地域連携薬局には夜間・休日対応や在宅ターミナルの対応などより高齢患者のかかりつけとして、健康増進支援薬局には健康相談・関係機関との連携や外来患者の一元的・継継続的把握による薬学的管理・服薬支援など主に勤労世代の生活習慣病患者のかかりつけとしての機能の発揮を求めるようなものとなっている。


 来年度から本格的に始まるかかりつけ医機能報告、そして新たな地域医療構想とも関連していくべく、わかりやすい薬局の役割分担がはじまる。合わせて検討が求められるのは、患者に対する啓発だろう。残念ながら認定薬局に関する認知度は低い。例えば、OTC医薬品の販売については保険薬局の薬剤師が提案することの強みなどを前面に出すことなども考えられる。広報の在り方まで注目をしたい。