【2025年7月レポート】急性期一般入院料1の減少傾向が続く。在宅医療に取り組む医療機関の現況から読み解けること
弊社(HCナレッジ合同会社)で毎月集計している施設基準情報より、新たな地域医療構想・地域包括ケアシステムでもポイントとなる届出情報にフォーカスして現況等について、これから毎月ご紹介していく。
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急性期一般入院料1と4の減少傾向が継続
昨年から急性期一般入院料1から入院料2・3への移行が進んでいる印象だが、今年度に入ってからも継続されていることがわかる。同様に、入院料4から他への移行も進んでいることがわかる。そのほかのハイライトは以下の通り。
地方厚生局管轄ごとに見ると、近畿と九州で急性期一般入院料はそれぞれ5病院の減少、関東信越では急性期一般入院料1から3病院の減少となっている。
関東信越から2病院、東海北陸から1病院、近畿から3病院、四国から1病院、九州から2病院が急性期一般入院料から減少している。ただし、病院の経営統合などによる可能性もあるので、読み解き方には注意が必要だ。
地域包括医療病棟の届出は微増
全体では9病院の新規届出が確認できている。北海道・東北・四国は一桁台で、大きな変動がない。地域の環境もあると考えられるが、高齢者救急の対応は高齢者人口の割合が高い地域ほど重要になってくるので、規模を縮小した形での集約・機能強化なども地域医療構想調整会議などで議論していくことも必要になるかもしれない。
現状の届出のある医療機関は以下の通り。
協力対象施設入所者入院加算、今年に入ってからは毎月約10-20ペースで増加
以前もご紹介しているが、全国医療情報プラットフォームとの違いなど、理解を進めていくことが必要だと今も感じる。
参照:地域医療情報連携NWと全国医療情報プラットフォームの関係性と併存の必要性
精神科地域包括ケア病棟入院料、微増に転じる
3-4月にかけては6病院の減少となっていたが、今回は4病院増加となった。ただ、3月時点の届出件数を回復しきれていない(-2病院)。180日間というカウント、そして何よりも今は精神科領域の地域連携のノウハウの蓄積の時期でもあるといえるだろう。
参照:精神科地域包括ケア病棟入院料、本年3月から4月にかけて減少
現状の届出病院は以下の通り。
在宅療養支援診療所、関東信越で36施設の増加の一方で九州では9施設の減少
かかりつけ医機能報告制度においては、在宅医療を行うことが必ずしも1号機能の要件ではなく、近隣で在宅医療を行う医療機関との連携が図れていればよい。そのため、どの医療機関が在宅医療に取り組んでいるか、どういった実績があるかといった情報がかかりつけ医機能報告制度における協議の場で重要となってくる。
在宅医療に取り組む医療機関は増加の傾向にあるが、九州や中国などの地域で減少している点は気になる。関東信越も山梨県・新潟県で微減となっている。患者数の確保の問題や開業医の体力の問題なども考えられるところ。今後は、こうした地方都市等では資源のある在宅療養支援病院・在宅療養後方支援病院との役割分担の推進を精緻に行っていくことが必要となりそうだ。