令和6年9月18日、日本医師会総合政策研究機構より定期的に報告されているICTを活用した地域医療情報連携ネットワーク等に関する概況(令和6年2月調査。325箇所に依頼し、有効回答は279箇所)が公表された。
地域医療情報連携ネットワークの稼働開始時期をみると、令和元(2019)年あたりをピークに、やや横ばいから微増という状況であることがわかる。
運営の主体についてみてみると、病院が最も多くなっている。地域の基幹病院を核にしているケースが多いのだろうと思う。一方で、地域医療介護総合確保基金を利用したと思われる行政や共同運営などが続く。なお、令和6年度介護報酬改定では「協力医療機関連携加算」が新設され、次回改定までに連携構築が義務化される。この連携においては、地域医療介護確保基金を活用した地域医療情報連携ネットワークを活用した年3回以上のカンファレンスへの参加(地域医療情報連携ネットワークに参加しない場合は月に1回以上)が求められることとなっている。そして、令和6年度診療報酬改定で「協力対象施設入所者入院加算」「介護保険施設等連携往診加算」が新設され、同じく地域医療連携ネットワークを活用した年3回以上のカンファレンス(地域医療情報連携ネットワークに参加しない場合は月に1回以上)が設けられ、医療・介護双方からの歩み寄りと連携の構築が評価されることとなった。なお、介護報酬では地域医療介護総合確保基金を活用したネットワークとなっているが、診療報酬では地域医療介護総合確保基金「等」を活用した~となっている。
地域医療情報連携ネットワークは、地域を一つの総合病院・患者の自宅入居先が療養する場所と考えた新しい地域医療構想において、重要なインフラとなる。今回の同時改定はそのインフラ作りを大きく後押ししている。ここ最近は微増にとどまっているが、今回の同時改定を契機に広がっていくことが期待される。
しかしながら、その同時改定が明らかになって以降、少し混乱も起きていることをよく体験している。それは、マイナ保険証/オンライン資格確認を基盤とする「全国医療情報ネットワーク」の存在だ。
全国医療情報ネットワークとの関係性
全国医療情報プラットフォームとの関係性などに関する調査も行われている。「心配である」という声が決して少なくない。特に、NPOや一般社団法人等でその割合が高い。おそらく、自治体等からの補助の打ち切りや減額の懸念があるのではないだろうか。
私はとある地域で地域医療連携に関する取組を行っているが、メーカーに関係なく地域医療情報連携ネットワークに関する評価は高く、サービス提供者側にしてみれば重要なインフラとなっていることがわかる。しかしながら、マイナ保険証の利活用の推進、全国医療情報プラットフォームという言葉が行政組織を中心に理解が進むとともに、地域医療情報連携ネットワークとの違いが分かりにくく、財政状況の厳しい自治体ほど支援の打ち切りや減額を検討している様子がわかる。