令和4年12月31日時点の東京都における医師・歯科医師・薬剤師統計が公表された。これは、2年ごとに調査が実施されている。医師の勤務先の種別や診療科への従事状況などが明らかにされている。人口が集中し、医師等の養成機関も多い東京の現状について確認をしてみる。
医師数は増加、女性医師の割合が高まる
医師数は増加の傾向が続いている。さらによく見てみると、女性医師の割合が高まっていることがわかる。全体の約3割に達している。働く女性の処遇改善を進める体制を医療界でも意識していくと同時に、男性医師の働き方自体の見直しも急務になってくる。男性の働き方をベースにしていては、女性の働き方改革は進まない。ゆえに、男性の働き方改革をまずは進めて、新しい当たり前を創ることが先決だ。
勤務先は病院の割合が高いが微減。診療所がやや伸びる。
医学部が多いこともあり、若い医師が多いこともあり、病院勤務医が多い傾向にあるが、若干減少している点が気になる。一方で診療所での勤務が増加の傾向にある。詳細はわからないが、美容外科などの診療所への流れも考えられる。年齢階級別の資料をみると、29歳以下で2.6%、30~39歳で13.4%の医師が診療所勤務となっている。
診療科別(複数回答)に見てみると、美容外科は前回調査よりも約130人増えている(約23%増)。一方で、小児科(3,888人→3,682人)・皮膚科(2,775人→2,713人)・眼科(2,120人→2,071人)など市場環境の変化や競争の影響もあってか減少となっている。診療所経営者の高齢化(診療所は60歳以上で割合が半数を上回る)なども影響しているのかもしれない。
薬剤師の半数以上は薬局に勤務。医療機関は約11%。
第8期医療計画からは薬剤師偏在指標も作成され、都道府県としても取組を行っていくことが求められる。令和6年度診療報酬改定では「薬剤業務向上加算」も新設され、特定機能病院・急性期充実体制加算の届出のある医療機関から薬剤師を派遣することを評価されるようになった。実際に取組が始まっている医療機関もあるが、そもそも病棟薬剤師を配置する環境ができていない病院への派遣となるため、0(ゼロ)から体制を作ることが必要となり、思っている以上に大変だと耳にする。
高度急性期病院に勤務する薬剤師の確保が今後は地域全体の薬剤師の確保と薬薬連携の平準化にもつながる。また、派遣を受け入れる側の協力体制や自治体による支援などが重要だ。具体的には、薬剤業務のDX化の支援などの補助など、これから本格化する薬剤師確保計画の中で期待したい。