地域包括医療病棟への転換、連携先となる介護老人保健施設・ナーシングホームの現状から考えるnext地域医療構想への対応

9/14/2024

r6同時改定 ニュース解説 介護保険 経営 地域医療構想

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令和6年9月11日、第594回中央社会保険医療協議会が開催された。先日公表された令和5年度医療費の動向に関する分析結果等について報告されている。その一連の議論の中で、DPC制度から退出する病院について報告があった。令和6年度診療報酬改定において、DPCの運用ルールが厳格化され、現状のままだと2年後の診療報酬改定に合わせて退出が求められる103病院などが明確にされている。


DPC対象病院から、地域包括医療病棟へ。改定後に8病院が転換。

ところで、今回DPC制度からの退出を決めた医療機関は4病院。地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟への転換が目的だ。令和6年度診療報酬改定以来、DPC対象病院から地域包括医療病棟への転換は8病院となる。


DPC対象病院と地域包括医療病棟の包括範囲はほぼ同じ。算定可能な加算についても、地域包ケア病棟とは異なり、病棟薬剤業務実施加算や救急医療管理加算の算定が可能だ。地域包括医療病棟は、厳格化されるDPC対象病院からの優良な転換先であり、下り搬送のための連携作りの一環となる。



新しい地域医療構想では、高齢患者の救急搬送・急性期がキーワードになっているが、着々とその下準備は進んでいる。個人的に思うが、医療・介護は地域密着型で、とにかく地域で一番に取組み、早くイメージを定着化させ、連携に着手することが大事だ。特に医療は公的保険のため、一般ビジネスのように価格での競争はほぼできないし、今後地方都市では人口減少していき、患者の獲得競争が起きてくる。今後も入院医療を継続していくためには、周囲の環境に合わせていかに早く機能転換を考え、連携を実行するかに尽きる。周囲の環境に合わせるということは、自らが何かを止め、周囲に任せるという意思決定が必要になる。新しい地域医療構想では、外来・在宅も視野に入れ、捨てること・得ることを決めていくことになる。

連携先となる介護老人保健施設とナーシングホームを確認すると...

地域包括医療病棟には在宅復帰率に関する要件がある。例えば、介護老人保健施設はその計算式から対象外となる。なお、令和6年度診療報酬改定より地域包括ケア病棟の場合は、在宅強化型もしくは超在宅強化型の介護老人保健施設への退院患者の半数については在宅復帰率の計算対象になることとなった。


ここ最近、多くの地方都市に足を運び地域の医療・介護の環境をみていると、介護老人保健施設の経営環境の厳しさを感じることがある。地方都市では人口減少が進み、高齢者が増えているのは確かだが、自然減があり、介護老人保健施設は在宅復帰率・高稼働が求められており、空きが目立つ施設もある。また、地方都市では人材確保も難しい。そうした環境の中、地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟の増加は、介護老人保健施設と連携というよりも、患者(利用者)と人材の獲得競争になっているのではないかと感じる場面もある。様々な理由もあるとは思うが、実際に介護老人保健施設は施設数と稼働率が減少のトレンドに入りつつあるように見える(参照:厚生労働省 令和4年介護サービス施設・事業所調査の概況)。新しい地域医療構想においては、医療と介護の連携・役割分担の視点も重要で、介護老人保健施設の意義も今後ポイントになってくるのではないかと思っている。



個人的にもう一つ連携先として注視しているのが、ナーシングホーム(医療サービス付きの有料老人ホームなど)や高齢者住宅だ。先日公表された訪問看護の医療費は大きな伸びを見せていたのは記憶に新しい(参照:<令和5年度>医療費の動向を読み解く~診療報酬改定実施後の患者負担の変化、医療提供体制の地域差なども~)。また先の図表では、訪問看護ステーションが大きく増えているのもわかる。


必要性があるのはわかるが、最近、高齢者住宅等に不必要に頻回な訪問看護が報道されているというニュースをよく目にする。令和6年度介護報酬改定では、訪問介護の基本報酬が引き下げられたことが話題になっているが、次回の改定では訪問看護にも同様の引き下げもあるかもしれないことを意識しておきたい。公的保険の中でのビジネス(利益の追求)とみられる取組には、厳しい対応がとられるのが昨今だ。

next地域医療構想がはじまるのは2027年度からだが、早めの対応は地域における自院の役割・立ち位置を早くから決定づけることになる。医療提供体制は、連携ですべてがつながっている。自院だけの都合ではなく、周囲の都合にも目を向けて、地域(住民)の都合を常に意識しておきたい。

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