令和6年度診療報酬改定の注目点の一つ「外来」の議論がはじまった

6/22/2023

r6同時改定 外来診療 経営 在宅医療 地域包括ケアシステム

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 令和5年6月21日、中央社会保険医療協議会 総会(第547回)が開催され、次回改定の注目点の一つである「外来」に関する議論がスタートした。なぜ注目点、といえるか、それは本年度通常国会にて改正医療法が成立し、「かかりつけ医機能」が明確化されたことにある。施行は令和7年(2025年)4月。医療機関単独でかかりつけ医機能を発揮するということではなく、地域をあげてかかりつけ医機能を全体で発揮することを目的に、各医療機関が担うかかりつけ医機能(プライマリ・時間外対応・在宅医療・紹介逆紹介対応・介護事業者との連携)を明確にして、地域の住民に発信・周知するというのが具体的な中身で、かかりつけ医という新たな資格や登録が必要というものではない。一方で診療報酬においては、かかりつけ医機能を評価する項目として「地域包括診療料(200床以下の病院、診療所)」「地域包括診療加算(診療所)」「在宅時医学総合管理料(200床以下の病院、診療所)」など単独でかかりつけ医機能を発揮する医療機関を評価する項目がすでにある。法律が成立したことに伴い、こうした「かかりつけ医機能」をどのように整理し、質の向上につながるような内容にしていくか、関心は高いところ。


〇外来のかかりつけ医機能「地域包括診療料」「地域包括診療加算」の現状は?


地域包括診療料及び地域包括診療加算の届出状況はやや頭打ちの状況にあるといえる。今後、地域をあげてかかりつけ医機能を発揮していくための地域での話し合いが増えてくれば、「地域包括診療加算」についてはやや減少していくことも考えられるかもしれない。本加算を存続させる前提で考えると、地域での役割分担に関する話し合いへの参加状況や紹介・逆紹介の実績など今後は見直しの可能性もあるのではないだろうか。一方で「地域包括診療料」については、今後200床以下に転じてくる病院が増えてくると個人的に感じている。地域包括ケア病床+地域包括診療料の組み合わせは、病棟と外来の一元化にもなる。課題としては、地域内のかかりつけ医機能を有する医療機関との関係構築になるだろうか。

また、こうしたかかりつけ医機能は診断がついた後の再診からの評価になるものだ。初診からでもかかりつけ医機能を有する医療機関を評価できるようにと「機能強化加算」がある。しかし、この「機能強化加算」は前回改定で在宅医療に関する実績が追加されるなどしてやや要件が厳しくなった。その影響が出ているようで、算定回数は増えているものの、届出件数は減少している。


新型コロナの影響もあることを考慮しなければならないが、かかりつけ医機能を有する医療機関には患者視点でもわかりやすいメリットがあるのも知れないと感じた。もう少し詳細を見ていく必要はある。


また、昨年度実施された外来機能報告の結果に基づき、もうすぐ「紹介受診重点医療機関」が明確化される。改正医療法でかかりつけ医機能も明確化されたことから、令和7年度からは外来機能分化が本格的にスタートしていくことになるだろう。この外来機能分化を推進していく上でポイントとなるのが連携であり、診療情報提供料・連携強化診療情報提供料とよばれるものだ。診療情報提供料は1と2があるが、いづれも紹介状を書く紹介元が評価されるもの。一方で連携強化診療情報提供料とは紹介先の医療機関が紹介元に月に一回診療状況を報告することを評価するもの。ただし、連携強化診療情報提供料(旧診療情報提供料3)の場合は、連携する医療機関のいずれかがかかりつけ医機能に関する診療報酬目(機能強化加算など)の届出が必須だ。

診療情報提供料1と連携強化診療情報提供料を比較すると、まだまだ連携強化診療情報提供料の件数は少ないのが実際だ。やはり、連携するいずれかがかかりつけ医機能を有していることが条件であることから、対象となる患者も限られているのかもしれない。




NDBを基に、都道府県別に地域包括診療加算の算定回数と連携強化診療情報提供料(診療情報提供料3と表記しています)の算定回数をグラフ化してみた。外来機能分化の浸透度を見る一つの指標にできないか、今後も経時的にデータを追いかけ、時系列で変化を見ていきたい。


〇生活習慣病の重症化予防に関する評価の現状

生活習慣病管理料や糖尿病透析予防指導管理料といった、かかりつけ医機能よりはやや専門領域に近い外来機能の評価項目の現状について確認しておきたい。



生活習慣病管理料については、医師の負担軽減の視点を取り入れたり、薬剤を包括外にして出来高算定となったことなども影響してか、算定回数が増えている。糖尿病透析予防指導管理料等については、やや横ばいだが、病院での届出が減少している。健康寿命を3年延伸するには、専門領域の外来の役割も重要であり、かかりつけ医機能を有する医療機関との連携は重要であるため、連携の観点での要件など注目しておきたい。


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