かかりつけ薬局機能の発揮に医療DXは必要不可欠といえる評価。医療機関との在宅移行や選定療養・後発医薬品使用促進に関する密な連携も評価のポイントに。

2/24/2024

r6同時改定 医薬品 医療ICT 経営 在宅医療 地域包括ケアシステム 薬局 薬剤師

t f B! P L

薬局にこそ医療DXが必要だ、そんなことを感じさせる調剤報酬改定となった。

薬局に関する政策は「患者のための薬局ビジョン」にすべてが描かれている。2015年を基点として、2035年にはすべての薬局は立地も地域へ、そして中間ゴールとなる2025年にはすべての薬局をかかりつけ機能を、というもの。しかし、患者のための薬局ビジョンが策定された後、新型コロナの感染拡大や医療DXの推進など新たな政策が打ち出され、患者のための薬局ビジョンのゴールも変わりつつあるように思う。立地も地域へ、ではなく、立地はそのままにDXを活用してその場(門前など)に在りながらも情報通信機器を利用したり、訪問・配送するなど地域に接近する、というのが新たなゴールと考えてよいのではないかと思います。そうした観点で、今回の調剤報酬改定を確認してみる。

参照:令和6年度診療報酬(調剤報酬)改定と患者のための薬局ビジョンを確認する


調剤基本料は引上げ、地域支援体制加算は引下げ。感染症対策と医療DXへの取組は必須

賃上げへの対応ということもあり、調剤基本料は7点の引上げとなった。その一方で、敷地内薬局については厳しい見直しとなった。ただ、従来予想された調剤基本料3-ハをイメージした、グループ全体の引下げ、ということにはならなかったものの、かかりつけ機能に関する加算が算定できなかったり、病院側にも処方箋料が減額されるなどのペナルティともいえる評価となった。グループ全体の引下げについては継続して検討することとされ、警告を発していると受け止めるべきと考える。また、クリニックモールを主な対象とした調剤基本料2の新たな基準が設けられている点にも注目したい。


一方で、かかりつけ薬局機能を評価する地域支援体制加算は7点の引下げとなった。調剤基本料は3点の引上げだが、この加算の影響で差引4点のマイナスとなる。ただし、地域支援体制加算を届出ていない薬局の場合は、影響はない。今回の引下げについては、医療DXの推進に伴う業務負担の軽減及び業務の効率化が反映されてのものと考えるべきだといえる。



なお、今回の見直しでは、健康サポート薬局の届出要件とされている48薬効群の品目の取り扱いと緊急避妊薬の備蓄が新たに要件に加えられている点に注目したい。地域への接近という観点からだと思われる。

また先述したように、地域支援体制加算を算定する場合は、医療DX推進体制整備加算及び連携強化加算の届出は必須だともいえる。立地はそのままで地域に接近するかかりつけ機能には医療DXは必要不可欠ということだ。なお、連携強化加算についてもよく見るとオンライン服薬指導の体制が必須となっている。


なお、医療DX推進体制整備加算では、オンライン資格確認の体制、電子処方箋、電子カルテ情報共有サービスに加えて、電子薬歴が必須となる点に注意したい。

また、服薬フォローに対する評価である調剤後薬剤管理指導料に慢性心不全が追加されていること、服薬情報等提供料2ではリフィル処方箋の患者に対するフォローも評価対象となる。慢性疾患の管理が医科診療報酬では注目を集めているが、受診頻度の低い患者に対して、薬局薬剤師がしっかりフォローをしていくことで評価の対象となり、重症化予防にもつなげられる。薬局の対人業務の代表ともいえるものだ。慢性疾患の管理を行う処方元との連携強化が期待されるところだ。



在宅患者のかかりつけ薬局機能を評価。処方前の薬剤師による処方提案を評価へ

在宅患者のかかりつけ薬局機能を評価する「在宅薬学総合体制加算」の新設も注目される。加算1は従来あった在宅患者調剤加算を廃止し、置き換えたようなものだが、加算2は加算1よりも35点も高いものとなっている。医療用麻薬の管理や無菌室の整備などが必須であると共に、かかりつけ薬剤師指導料の1年間で24回以上の実績が必要と、高い要件が求められるもの。医療用麻薬の管理コストなども考えた内容といえる。


また、今回の改定では在宅移行の早期の段階からの薬剤師による介入を評価する項目ができていることだ。「在宅移行初期管理料」と「在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料」だ。前者については230点と高額な評価となっている。後者については、処方箋交付前に関する評価が新設されている。いずれも、医療機関との連携強化、そして処方提案をすることが重要なキーワードであることを理解しておきたい。医療機関との定期的な連携の在り方、情報共有の在り方など重要だ、こうした場面でも、地域医療情報連携NWなどへの参画が大切だとわかる。




薬局における後発医薬品使用促進策での立ち位置を確認する

そして、本年10月からの後発医薬品のある長期収載品の患者一部自己負担について、薬局薬剤師による制度の説明を評価する「特定薬剤管理指導加算3」が新設されている。制度そのものについては、今後事務連絡が出てくることになると思うが、医療機関からの依頼が増えることなどは容易に考えられるので、対応策など早め早めに準備をしておきたい。例えば、今回の診療報酬改定における後発医薬品使用促進に関する評価を見てみると、後発医薬品使用体制加算や一般名処方加算等は引き上げられているものの、後発医薬品調剤体制加算は据え置きとなっていることに注目しておく必要がある。

医療機関における引上げは、選定療養に関する説明に対する負担も含まれていると考えられると同時に、処方元にこそ後発医薬品の使用促進が強く求められるともいえる。薬局では処方元の意向にあわせた丁寧な説明役が期待されているといえるだろう。


患者のための薬局ビジョンのゴールに向けて、今回改定では「かかりつけ機能」を重点的に見直されている。場所に依存しない、人(薬剤師)に依存する経営がポイントだ。

本日の社会保障関連ニュース

本日の病院関連ニュース

本日の診療所関連ニュース

本日の調剤関連ニュース

ブログ アーカイブ

お問い合わせ

名前

メール *

メッセージ *

QooQ