動き出した電子処方箋モデル事業から考える近い将来

12/13/2022

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 12月に入ってから、全国4か所での電子処方箋のモデル事業が動き出している。

薬の処方箋、オンラインでやりとり 広島・安佐市民病院と2薬局で運用開始(中国新聞)

「電子処方箋」発行スタート 須賀川でモデル事業(福島民友新聞)


福島民友新聞の記事では、公立岩瀬病院を中心とした須賀川地域を取りあげ、実際に利用した医師、薬局本部の担当者のコメントもある。

電子処方箋は、オンライン資格確認の体制があることを前提する。なお、患者はマイナ保険証でなくても、薬局で保険証を提示することで医薬品の受け取りは可能だ。本格に普及していくことで、医療機関の周辺にある門前薬局との関係性も変わってくる。距離の問題、処方意図の理解などもICTが解決してくれる。電子処方箋で期待されるのは、そうした距離の問題の解消だけではなく、重複投薬・多剤投与の防止でもある。以前ご紹介した令和6年度からの医療費適正化計画の中で電子処方箋の積極的な利活用が盛り込まれる方針だ(参照:医療資源の投入量に差がある医療(外来化学療法やリフィル処方箋)を適正化~第4期医療費適正化計画、審議会で了承~)。おそらく、令和6年度診療報酬・調剤報酬でも評価の対象となる可能性が高いと思われる。


こうしたオンライン化が進展する恩恵は、電子処方箋に限らず、服薬指導と医薬品の受け渡しの変化なども期待されるところ。それが規制改革推進会議で提言されている調剤業務の外部委託にもつながる。潜在薬剤師の方が在宅からオンライン服薬指導を行い、調剤業務・配送業務は別途行われる、などがイメージされるが、慎重な意見がまだ多い(参照:調剤の外部委託、無条件解禁を協議へ 規制改革推進会議・日本経済新聞)。


こうしたオンライン化が進むことで、薬剤師の業務の効率化が進む一方で、対人業務のスキルアップが期待される。たとえば、先日公表された「自殺総合対策大綱」では、住民の健康状態等に関する情報に接する機会が多い地域のゲートキーパーの1人とされ、自殺予防となるメンタルヘルスに関する学びなどが必要される。


効率化が進むにつれ、ヒトとしての磨きをかけることがより一層求められることとなる。それは、薬剤師に限ったことではなく、さらに、医療従事者に限ったことでもなく、地域住民も必要最低減の医療に関する知識と理解があってこそだと考える。

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