病院フォーミュラリの取組の進展はみられるものの、地域への拡大にはまだ時間も

3/30/2023

r4診療報酬 経営 薬局

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令和5年3月22日の中医協総会にて、令和4年度診療報酬改定に関するアンケート調査結果が公表されている。これまで、リフィル処方箋在宅医療について紹介してきたが、今回は後発医薬品について取り上げる。後発医薬品の使用促進については、フォーミュラリとバイオシミラーに重きを置いてみていきたい(フォーミュラリに関する調査結果の過去の記事はこちらから)。

〇バイオシミラーに対する認知度、積極的な利用に関する意識は?

令和4年度診療報酬改定において、後発医薬品の使用促進策の一環として「バイオ後続品初期導入加算」の対象が拡大されたところ。実際に病院ではは使用が増加したという声が約12%あった。しかしながら、いいえとの回答が約30%、わからないという回答が約40%という結果だ。では、なぜバイオシミラーの件数が増えないか、との理由については対象となる患者がいないとの声が多かった。一方で、今回の加算が低いとの反応は薄い。ちなみに、後発医薬品使用体制加算では、バイオシミラーも後発医薬品としてのカウントの対象になる。また、入院基本料への加算だが、外来を含めた病院全体での使用割合で決まるものでることを改めて理解しておきたい。


なお、患者さんに対してバイオシミラーに関する認知度も確認されているが、まだまだ認知度は低いといえる。後発医薬品の普及には患者の認知度向上も一定の貢献があったといえるので、バイオシミラーについても一層の認知度向上策が求められるところ。



〇病院フォーミュラリの状況を確認

前々回の診療報酬改定結果調査頃からフォーミュラリについて調査されている。調査の特徴は、DPC対象病院と一般病院とを分けて調査している点だ。今回も同様の形式で行われているが、前回に比べて回答件数が少ないものの、DPC対象病院等ではフォーミュラリがかなり推進していることがわかる。今後進める予定があるを含めてみると、約半数でフォーミュラリについての理解と推進意欲が分かる。


病院の規模別にみてみると、規模が大きい病院ほど策定されていることがよくわかる。高度急性期~急性期を志向する病院においてはフォーミュラリの策定が急速に進んでいることをうかがわせる。ただし、回答件数が決して多いものではないことに注意が必要だが(n数が100に満たない調査で%で表記するのは誤解を招く)。


実際にフォーミュラリを策定している病院の目的についても調査されている。病院経営への寄与という視点も大事だが、あくまでも患者にとっての最善の選択、適正使用の推進が最も重要な目標であると思う。


〇地域フォーミュラリの状況を確認

調査の形式からもわかるように、フォーミュラリはまずは地域の基幹病院となる高度急性期や急性期の病院がまずは病院フォーミュラリを策定し、その策定されたフォーミュラリをホームページ等を通じて地域に情報発信して、地域フォーミュラリを推進していく、というイメージだろう。今回の調査で地域フォーミュラリについて調査されているが、こちらも回答件数が少ない点に注意が必要だが、まだ一桁台という状況だ。


薬局の視点でも地域フォーミュラリに関する調査がおこなわれているが、結果は同様にまだまだ少ない。特に薬局の調査結果で気になるのは、「どういう状況かわからない」という声が約35%と最も多いことだ。地域医療連携への積極的な参画、近隣医療機関の処方意図の把握やホームページを通じた積極的な情報収集の習慣化が必要に感じた。


では、実際に地域フォーミュラリがある地域においては、そのように推進されているのだろうか。病院からの勉強会の実際やホームページを通じた情報発信が多いことが分かる。こうした結果から、DPCの評価にある保険診療係数などでホームページにフォーミュラリを掲載することで係数が変動するなど今後考えられるのではないだろうか。



〇フォーミュラリの中身は?

フォーミュラリは後発医薬品の使用促進策の一環であることを忘れていけない。実際の薬効群ごとのフォーミュラリ策定状況、さらに先にご紹介したバイオシミラーを組み入れているかといった調査結果も公表されている。




〇フォーミュラリを策定しない理由を確認

フォーミュラリを策定しない理由についても確認してみると、メリットは感じているものの設定が困難、という回答が多い。前向きにとらえれば、ファーミュラリの価値はわかっているといえる。理由を見てみると、マンパワー不足が最も高い理由となっている。フォーミュラリは院内薬剤師が中心となって素案を作成し、院内で承認を得て、周知されることが多い。病院での薬剤師の採用が厳しいことなども背景になると思う。そう考えると、病棟薬剤業務実施加算などでのフォーミュラリ策定へのかかわりなどを要件とした新たな点数を設けるなどして、処遇改善につなげることも必要になってくると考える。なお、病院と薬局では給与格差があることもよく問題視されることがあるが、生涯賃金でその差を見てみると、病院の方が処遇はよくなるもの。早ければ5~8年目あたりから逆転する。薬剤師の採用活動においてはそうした視点でアプローチすることも必要だろう。



それから策定にあたって、フォーミュラリはあくまでも推奨薬リスト、であって、絶対ではないということも改めて理解してもらうための周知も重要だろう。例えば、専門外の診療・処方をする際の参考にしてもらうなどの場面での利用などイメージしやすい。実際に処方する医師にとってのメリット、経営者、そして患者にとってのメリットを改めて確認しておきたい。基本は、患者にとっての最善の選択となることだ。


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