先日、本年10月から医療DX推進体制加算におけるマイナ保険証の利用率の基準が段階的に引き上げられる方針であることをお伝えした。


参照:医療DX推進体制整加算、本年10月よりマイナ保険証の利用実績要件を見直しへ。届出病床・入院料別の現況を確認、考えられる対応は?


 このマイナ保険証に関連して関連して注意しておきたいことが直近で発生する。デジタル庁より情報提供されているので、こちらと合わせて確認しておきたい。


参考:8月以降順次切り替え!健康保険証の注意点は?(後期高齢者医療制度・国民健康保険の被保険者の方)


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後期高齢者医療制度の健康保険証は7月31日で有効期限切れ。8月以降の対応は?

 後期高齢者医療制度に加入している75歳以上の患者及び65歳から74歳までの方で一定の障害の状態にあると認定を受けた患者について、本年7月31日で健康保険証の有効期限を迎えることとなる。さらに、8月以降は従来のカード形式の健康保険証は発行されないため、マイナ保険証か資格確認書を利用することが必要になる。なお、資格確認書と似たものに「資格情報のお知らせ」という紙カードもあるが、こちらは資格確認書とは別物。マイナ保険証で受診しようとした際に、システムトラブルで利用できなかった場合などでマイナ保険証と一緒に提示して利用するものなので注意が必要だ。




 なお、資格確認書については令和8年7月末までの暫定措置として、マイナ保険証の有無に関係なく申請不要で資格確認書が無償で交付されることとなっている(来年からは申請が必要になる見通し)。マイナ保険証を有しない患者に対しては、なるべくマイナ保険証の利用を促しつつ、資格確認書による対応も可能であることを伝えておきたい。




 もう一点注意しておきたいのは、国民健康保険に加入している患者も本年7月31日以降、順次有効期限を迎えるケースがでてくる。この場合は、後期高齢者医療制度の患者とは異なり、資格確認書はマイナ保険証を有していない患者にのみ有効期限前に自動的に交付される。





マイナ保険証は医療機関やセブン銀行ATMで利用登録が可能

 医療DXを実行性あるものにすることで、患者情報取得・診療の効率化が実現できるとともに、患者本人の闘病意欲を高めることや医療費を実感することに役立てることができる。国民本人が自由意志で決めることではあるが、マイナ保険証の利活用は医療DXの入口ともなるため、その利用登録をまずは積極的に進めていくことが望ましいと考える。

 マイナンバーカードを取得されている患者であれば、医療機関に設置されている顔認証付きカードリーダーから利用登録もできるようになっているので、まずはマイナンバーカードの取得の有無を確認した上で、その場での登録のお願いをしてみることが大切だ。その際には、患者にとってのメリットなども合わせて伝えておきたい。

 例えば、すでに新規発行が終了している限度額適用認定証だが、マイナ保険証による受診であれば、窓口での1か月の支払いが最初から自己負担限度額までとなる(マイナ保険証を利用しない場合は保険者に適用区分が記載された「資格確認書」を申請し、交付を受ける必要がある)ことや、今後難病助成などの公費助成の申請がオンラインできるようになるので、書類の収集・作成・役所への持参といった負担が減ることなど。

 
 医療機関としても、受診前・診療中に的確に患者情報と処方歴なども確認できることで、診療の効率化や重複投薬の防止にもつながる。患者、医療スタッフの負担軽減・業務の効率化の観点から改めて理解を深めて推進をしていきたい。