医療DX推進本部初会合、関係省庁の取組方針を確認する

10/14/2022

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 骨太方針2022に「政府に総理を本部長とし関係閣僚により構成される「医療DX推進本部(仮称)」を設置する」との記載があったが、その政府による医療DX推進本部の初会合が令和4年10月12日に開催された。岸田総理を本部長に、関係省庁となる厚生労働省・デジタル庁・総務省・経済産業省による組織横断的な取組を促進すべく、各担当相も出席し、今後の取組について話し合われ、間もなくまとめられる総合経済対策にも盛り込むことが確認された。令和5年春に開催予定の第二回医療DX推進本部にて今後の工程表を策定するべく、下部組織である医療DX推進本部幹事会(議長:木原内閣官房副長官)にて具体的な施策を検討する議論をこれから進め、各省庁の取組状況を適宜確認していくこととなる。

その推進本部初会合の翌日となる10月13日には、河野デジタル相は令和6年秋に現行の健康保険証を廃止の上、マイナンバーカードと健康保険証を紐づけマイナンバーカードに一体化する「マイナ保険証」に切り替えることを記者発表で明らかにした。なおこの記者発表について、「マイナ保険証でなければ受診ができないのか」「一体化の期限までにマイナ保険証が間に合わない場合はどうするのか」といった疑問が各所で聞かれたが、加藤厚生労働相からはマイナンバーカードがない人であっても保険料を納めている人が保険診療を受けられるのは当然として、様々な事情を考慮して「丁寧な対応」をしていくことを明らかにしている。

今回の初会合では各省庁の方針と取組内容が明らかにされているが、その基本となるものは「全国医療情報プラットフォーム」の創設にある。その創設に向けて必要な基盤となるのが、マイナ保険証であり電子カルテの標準化となる。

厚生労働省からは、医療DXの推進で実現される社会像として、PHRの推進による健康増進、保健医療データの利活用によるヘルスケア産業の振興、医療機関における業務効率化への期待が示された。すでに厚生労働省では「医療DX令和ビジョン2030」の実現に向けた初会合を終え、取組もスタートしている(参照:医療DX令和ビジョン2030の実現に向けた初会合が開催される)。


デジタル庁からは、先の河野担当相の記者発表にあるようにデジタル化による様々なメリットを感じてもらうためのマイナ保険証の推進が示された。すぐにその行動を河野担当相は示した格好だ。医療だけではなく、様々な行政手続きの簡素化などメリットも多い反面、自己情報の扱い方であったり、外部からのアタックに対する対応など課題もある。


総務省からは、情報ネットワークのインフラ構築やガイドラインの整備など共に、遠隔医療や高齢社会に伴い増えてくる認知症対策につながる利活用についても示されている。また、健診情報の利活用に関する民間事業者による取扱ルールの策定についても記載がある。


経済産業省からは、民間活力によるPHRの活用に関する環境整備の方針が示された。令和5年前半には業種横断的なPHR事業者団体の設立を目指す方針だ。


医療DX推進本部の本格的稼働とほぼ同時にマイナ保険証の義務化方針が明らかにされ、周回遅れともいわれた日本のデジタル化が始まろうとしている。そもそものマイナンバーカードの取得が進んでいないという根本的問題解決に向けては、令和5年度の地方交付税の算定や、新たな交付金の配分にカードの交付率を反映させることも検討されている。また、マイナンバーカードの取得に否定的な意見の代表的なものに情報漏洩・流出への懸念もある。特に高齢者や、子を持つ母親など。そうした懸念への対応と共に、国民の情報リテラシーをどうやって向上させていくかが重要だ。

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