集約化が進む小児・周産期医療、かかりつけ機能と連携強化が課題に

8/06/2023

r6同時改定 外来診療 経営 入院医療

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 令和5年8月2日、中医協総会が開かれ、医療DX(参照:令和6年度診療報酬改定より、6月の施行へ。薬価改定は4月のままとなる見通し。)と共に小児・周産期医療についての議論が行われた。小児・周産期医療については、7月26日に開催された中医協総会で議論された感染症対策と同じく令和6年度から各都道府県で始まる第8期医療計画における6事業の項目の一つ(参照:感染対策向上加算、新興感染症対策への対応への備えを。抗菌薬の使用量の適正化を連携を通じて強化へ。)。医療計画における6事業とは、ある意味で医療機関が単独で行うには不採算となりがちなものであるために、公立・公的医療機関が主たる役割を担うと共に、診療報酬上での手厚い評価と近隣医療機関との連携に対する評価が重要になってくる。


参考)

診療報酬とは、医療計画を下支えするもの~5事業に対する診療報酬での評価の方向性を読む~


〇小児医療の現況から読み解く。小児かかりつけ医機能の拡充を。

15歳未満人口の減少が進んでいることは何となくわかることだ。外来・入院患者数を見てみると、外来は増回の傾向・入院は減少傾向にあること。外来については、各自治体で取組まれている子供医療費助成が、高校まで無償化など手厚くなっていることも間接的に影響していることだろう。




小児科の医療環境を見てみると、小児科を標榜する病院は減少している傾向にあるものの、勤務する小児科医数が増えている傾向となっていることから、小児科医療の集約化が進んでいるといえる。また、主たる診療科を小児科とする診療所も増えている傾向だ。


外来機能に焦点を当ててみると、小児かかりつけ診療料を算定する医療機関がまだ少ないことがわかる。小児領域では、小児外来診療料という6歳未満の小児を診療することで評価される項目があるが、こちらは24時間対応が必須ということではない。小児かかりつけ診療料は24時間対応が必須だ。


小児医療においては、家族の意向が大きなファクターともなるが、その家族が最も求めるのは、時間外や緊急時での対応。小児領域でもかかりつけ医機能が拡充することで、集約化が進んでいるとはいえ、患者数も増加して対応に苦慮する病院勤務医の負担軽減にもつながることが期待される。時間外対応加算3による届出も可能となっていることから、近隣医療機関との連携を進めていくことが期待されるところ。

小児入院医療についてみてみると、先にお伝えしたように集約が進んでいることが分かる。高度急性期機能を有する病院、特に、公立・公的医療機関に集約されている傾向だ。



高度急性期機能を有する公的・公立病院に集約されてきている結果、前回改定で要件が見直された新生児特定集中治療室管理料や小児特定集中治療室管理料の届出・算定回数は増加の傾向にあり、低出生体重児、早期算の児の死亡率の低下に大きく貢献してきているともいえる。


その一方で、小児入院医療では2つの課題があげられている。一つは、緩和ケア医療について。緩和ケア病棟に入院する患者の多くは高齢患者多いことや小児患者の場合は家族の意向もあり在宅などを希望するケースもあり、手厚く環境が整備され、家族の負担も軽減できる緩和ケア病棟をうまく活用されていない状況だ。小児患者の緩和ケア病棟の活用について、在宅との連携強化なども含めてテーマになることが考えられる。小児がんのみではなく、医療的ケア児への対応、レスパイト入院の議論にもかかわってくることになる。


そしてもう一つは、付き添い入院について。付き添いが家族の負担になっていること、診療報酬における評価をゆがめている(看護配置・看護業務との関連)のではないか、ということへの対応も次回診療報酬改定のテーマになるといえる。こちらについては、今後調査を行うこととなっているので注視していきたい。


〇連携を強化する周産期医療の評価の傾向

周産期医療の集約化も進んでいる。集約化が進むことは医療の高度化や効率性が高まることを意味するが、集約化に伴い患者からの必要とする医療へのアクセスの問題が生じる。また、ハイリスク妊産婦の増加もあり、複数の診療領域との連携が重要になることから、ここ最近は連携を軸に診療報酬も適宜見直され、対応がすすんでいるところだ。次回改定においても、連携という観点での評価の見直しや医療計画と連動させた新たな評価の新設など期待されるとこだろう。




小児・周産期医療は医療計画の見直しとも大きな関係がある。医療計画は6年を一つの周期とするものであり、診療報酬との関係でいえば、とりわけ6事業の評価が大きく見直される契機ともなるもの。現行の診療報酬項目と第8期医療計画を突き合わせてみてみることで、方向性が確認できるだろう。

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