令和5年8月2日、中医協総会が開催された。この日は、診療報酬改定DXに関する注目の議論があり、来年度診療報酬改定から早くも施行時期を遅らせての施行開始となる見通しとなった。
診療報酬改定DXとは、国を挙げて取組む医療DX3本柱の一つ。改めて確認すると、2030年までにすべての医療機関に電子カルテを導入・すべての薬局に電子カルテ情報と情報を共有するための仕組み「電子カルテ情報共有サービス(仮)」で必要な患者の医療情報を共有するインフラを整備するもの。そのための医療DX3本柱とは「全国医療情報プラットフォーム」「電子カルテ情報の標準化等」「診療報酬改定DX」だ。そして、それら3本柱の基盤ともなるのが、昨今良くも悪くも話題になっているマイナ保険証・オンライン資格確認となる。
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医療DX令和ビジョン2030の実現に向けた初会合が開催される
医療DXのこれからの工程表案、標準規格に対応した電子カルテの導入促進を明記
今回の議論では、診療報酬改定DXの今後の進め方について確認されている。診療報酬改定の告示から施行までが1か月という短い時間で、医療機関やベンダが集中して対応しなければならないという状況の改善のために各ベンダがそれぞれで行っていた作業(診療報酬の算定・患者の負担金の計算のプログラムなど)を共通化するモジュールの開発を行い、負担軽減を図ることとなっている。こちらについては、以前もお伝えした通りで令和8年度からの運用を目指すこととなっている。そこで、令和7年度中にモデル事業をはじめ、中小病院から徐々に対象を拡大していく方針だ。なお、診療所向けに対してはこれから開発に着手する標準型電子カルテと連動させてクラウド上で利用可能な環境を提供する方針とのことだ。
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診療報酬改定DX(施行時期の後ろ倒し等)、早くとも2026(令和8)年度からの実施へ
共有算定モジュールの本格稼働は令和8年度からの予定なので、てっきり診療報酬改定施行時期の後ろ倒しも令和8年度からと思っていたが、違った。令和6年度、来年度から後ろ倒しで開始する方針とのことだ。今回提示されたのは、2か月遅れの6月施行という案。答申と酷似は従来通りだが、問題になるのが薬価改定もあわせて6月とするのかどうか。
結論から言えば、薬価改定は4月改定のままとなりそうだ。これは、薬価調査のスケジュールや薬価収載のタイミングを踏まえてのこと。国の予算にも影響があることも忘れてはいけない。しかしながら、診療報酬本体と薬価の改定時期がずれることで、DPCでは影響が出ることが考えられる。また、4月と6月と2回の改定の対応が必要になることはかえって負担が重くならないのかも気になるところだが、薬価改定は毎年改定になっていることもあり、それほどの大きな負担にはならないのかもしれない(材料価格については、6月?)。今回の方針を受けて、医療関係者だけではなく、ベンダも含めてどういった意見が集められるか、注目していきたい。