療養病棟における医療依存度の高い患者を詳細に見極め、診療報酬上の評価を検討へ

8/11/2023

r6同時改定 経営 入院医療 慢性期

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 令和5年8月10日、第5回 入院・外来医療等の調査・評価分科会が開催された。主なテーマは、「重症度、医療・看護必要度の見直し」「地域包括ケア病床における救急対応及び在宅からの受入れの評価の検討」「療養病棟における医療依存度の高い患者に対する評価の適正化とTPNの評価に関する扱い」の3点といえる。ここでは、「療養病棟における医療依存度の高い患者に対する評価の適正化とTPNの評価に関する扱い」についてポイントを紹介する。


〇データ提出加算のデータを基に医療区分毎に医療資源の投入量を分析

医療区分と一口に言っても、その中には疾患・状態で該当するものと処置及び処置に伴い管理が必要な状態で該当するものがある。そこで、データ提出加算のデータを用いた医療区分毎の詳細な分析が行われている(本稿では医療区分3のみ抜粋して掲載)。



医療区分という大きなカテゴリーの中には、状態や必要とされる処置行為が異なる患者が混在していることがわかる。急性期病院における平均在院日数短縮化の傾向が続き、療養病棟でも医療依存度の高い患者は増えてきている。そこで、今後もデータを詳細に見ながら、医療依存度の高い患者の状態にあった精度の高い評価を検討していく方針だ。今回ご紹介しているように、疾患・状態軸の評価、処置等に関する軸の評価と細分化されることなど考えられる。


〇消化管が機能していれば経腸栄養を優先的に選択、中心静脈栄養の長期化の是正を

前回の診療報酬改定では、中心静脈栄養から経口摂取へ移行するための取組を推進するための見直しが行われたところだが、残念ながら、その効果は現時点ではあったとは言い難い。中心静脈栄養については、転院前から挿入されている(挿入を依頼している)ケースや患者・家族から胃ろうを避けるケースなどもあり、連携元医療機関や患者・家族の協力が求められる。

今回の議論の中では、内視鏡嚥下機能検査あるいは嚥下造影検査の実施がある施設は経口摂取に移行する割合が高い、という分析結果が公表されていることから、対象となる患者に対しては内視鏡嚥下機能検査あるいは嚥下造影検査の実施を必須化することなども考えられるかもしれない。

また、中心静脈栄養を選択する前に、消化管の機能が使えるのであれば経腸栄養を優先的に選択することを今回の議論の中で伝えている。医療区分3に中心静脈栄養の患者数が増えているように見えること、経管栄養の患者の方が抗菌薬の使用が少なくなるなども資料では伝えている。



以前もお伝えしたが、200床未満病院と200床以上におけるMRSAに罹患した患者割合を比較すると、200床未満病院の方が高い割合を示している(参照:感染対策向上加算、新興感染症対策への対応への備えを。抗菌薬の使用量の適正化を連携を通じて強化へ。)。中心静脈栄養の長期利用者が多いとCRBSIなどの原因ともなることを考えると、感染対策はもとより、経腸栄養が可能であればそちらを優先することを徹底していくことが必要だ。そのためにも、摂食嚥下機能回復体制加算3のように、療養病棟の環境・状況に合わせた栄養サポートチームと内視鏡嚥下機能検査あるいは嚥下造影検査の実施を合わせた内容の項目なども考えられる。


また、高齢患者の増加に伴い認知症を有する患者も増えている。そこで度々話題になるのが、身体的拘束だ。やむを得ない状況なのか、患者の尊厳を守れているか、身体的拘束をやめる基準が明確か、といった確認の上で実施することになっている。この中でやむを得ない状況として、チューブ類の自己抜去防止と転倒転落防止が常にあげられる。そのため、中心静脈栄養に限らず経鼻経管栄養などの患者に対して実施されるケースが多い。



安全のためであることを周囲の関係者にも理解を得た上で、やめるタイミングをどうするか、そのやめるタイミングをはやめるためにどういった計画を立てて実施していくかなどの方針を明確にし、周知していくことなど求められてくるだろう。


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