骨太方針2023に記載された「リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理連携・推進」を診療報酬で ②リハビリテーションの視点

9/10/2023

r6同時改定 リハビリテーション 回復期 急性期 経営 慢性期

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 令和5年9月6日、令和5年度 第6回 入院・外来医療等の調査・評価分科会が開催された。8月10日の議論についてで、各入院医療に関する現状と評価の方向性について議論すべく、下部組織であるDPC/PDPS等作業グループと診療情報・指標等作業グループにおける分析結果・報告を基に議論された。ここでは、急性期~回復期~慢性期の横のつながりでのリハビリテーションに着目してみたい。なお、栄養管理・口腔管理については「骨太方針2023に記載された「リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理連携・推進」を診療報酬で ①栄養・口腔管理の視点」をご覧ください。DPC/PDPSについては、「DPC/PDPSに関する見直し、「規模と診療科数に応じた評価」「入院期間Ⅰの評価」「短期滞在手術等基本料」に注目」をご覧ください。


高齢者人口割合の増加で急性期病床においても高齢患者割合が高まっている。ただ、ここ最近の急性期病床の純化(看護必要度の厳格化、急性期充実体制加算など急性期特化、地域包括ケア病床の誕生など)が進んだこともあり、急性期病床での要介護認定を受けている高齢患者の割合は下がっていることが分かる。


しかし注意しておきたいのは、要介護認定を受けていない高齢患者が多いということで、要介護状態に陥らないように入院中にADLが下がらないような取組、すなわちリハビリテーションが病床の種類に関係なく必要になってきている。そして、当然ながらリハビリテーションのスタッフが多いほどその効果は大きい。



一般病床においては「ADL維持向上等体制加算」がある。しかしながら、すこぶる低調だ。疾患別リハビリの専従スタッフとの兼務による実施がNGであること、直近1年間の新規入院患者の傾向から一定の実績が求められること、アウトカム評価の基準があるなどの要求水準が高いわりには点数が低いといえることが原因ではないかと思われる。少なくとも点数を引き上げることや疾患別リハビリの専従スタッフとの兼務を可能にする(疾患別リハとの併算定など)といった対応が検討されることになるだろう。また、高度急性期における「早期離床・リハビリテーション加算」についても要求水準の高さが今後議論になってきそうだ。質を高めるために重要なことではあるが、質を高めるためのスタッフの研修等の機会を創出できるような体制構築につながるような見直しになることが必要になってくるだろう。


また、急性期においては休日(土日)リハビリテーションが有用だとされ、今回資料でも示された。休日リハビリテーションを推進する評価が大きく期待されるところだ。


なお、リハビリテーションの効果を高めるためにも栄養管理が重要なポイントであることは言うまでもない。管理栄養士の配置、病棟ラウンドでの栄養カンファレンス、委員会活動・合同カンファレンスの合理化など体制を構築しておきたいところだ。

参照)

骨太方針2023に記載された「リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理連携・推進」を診療報酬で ①栄養・口腔管理の視点


回復期リハビリテーション病棟については、入棟時・退棟時FIMの年次推移について資料で示され、FIMの適切な評価の在り方について検討されている。そこで注目されているのが第三者評価の受審だ。第三者評価の受審がFIM評価の適正化に一定の効果があることわかっている。そこで、努力義務から義務化へ、議論されていくことが考えられる。



また、栄養管理についても議論されているが、こちらについては「骨太方針2023に記載された「リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理連携・推進」を診療報酬で ①栄養・口腔管理の視点」をご参照を。入院栄養食事指導の徹底、嚥下機能検査の徹底などがポイントになりそうだ。

退院前訪問指導について、その件数の少なさも示されている。個人的には、新型コロナ感染拡大の影響も考慮する必要があるように思う。しかしながら、退院後もADLを維持向上していくには、在宅での療養環境も重要であることから、病院スタッフだけではなく、近隣医療機関との連携による訪問指導やオンラインを利用した指導、そして適切な点数の設定などが議論になりそうだ。合わせて、入退院支援加算1の届出がある医療機関は退院前訪問指導の実施割合が高いことが示されていることから、回復期リハビリテーション病棟においても入退院支援加算の届出を促す施策が今後考えられる。



なお、地域貢献活動への参画を促すような資料も提示されている。診療報酬上で間接的な評価(入院料等の要件や努力義務)回復期リハビリテーションには、病院内にとどまらず、その高度なリハビリテーションの知識と経験を地域に対して発信していくことが求められていることが分かる。自院だけで考え込むのではなく、近隣の医療機関や介護事業者尾との連携で発信していくことが重要だろう。


また、身体的拘束についても資料が提示されている。脳血管疾患や心疾患といった医療依存度の高い患者ほど多く実施されていることから、転倒転落などの安全を考慮した側面もあると思われる。しかしながら、認知症を持つ患者もいてのことも考えられるので、認知症ケア加算の届出等を推進していくことが考えられる。


慢性期においてもリハビリテーションに関する資料が示されている。入院料1・入院料2の中でも医療区分とADL区分が低い入院料Iでのリハビリテーションの実施量が高いことが確認されている。前回改定では経過措置型療養病棟では一定の疾患別リハの実施がある場合はFIMの測定等が求められる見直しが行われたところ。入院料1においても同様の対応が迫られる可能性があるのではないだろうか。



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