かかりつけ医機能報告は地域医療支援病院等にも。かかりつけ医機能報告の対象・内容・報告時期等が示される。

5/27/2024

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 令和6年5月24日、厚生労働省にて「第5回 かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」が開催された。来年度からスタートする「かかりつけ医機能報告制度」の具体的な内容案が示されている。本年夏までに結論を出すことになっている。

かかりつけ医機能報告制度は、新たにかかりつけ医の認定や資格を設けるというものではなく、地域住民に「選んでもらう」ために必要な情報を整理・発信することが主たる目的だ(参照:「かかりつけ医機能報告制度」、令和7年度からの開始に向けて議論が始まる)。また、単に情報発信をするだけではなく、住民参加も視野に、地域を挙げたかかりつけ医機能を整備するための協議の場の設置、患者への必要な説明についても検討をしていく。


〇かかりつけ医機能の報告対象となる1号機能、そして2号機能

かかりつけ医機能そのものの考えについてだが、「1号機能」と呼ばれる「継続的な医療を要する者に対する発生頻度が高い疾患に係る診療その他の日常的な診療を総合的かつ継続的に行う機能」を有する医療機関の有無について報告を求め、その1号機能に該当する医療機関が「2号機能」の有無について報告することとなる。

1号機能の報告については、現段階では3つの案が示されている。1つ目の案では一定以上の診療(35項目の症状ごとの対応可能の有無)に対して一次診療ができることが可能かどうか。2つ目の案では、日本医師会等によるかかりつけ医機能に関する研修の修了者がいること又は全日本病院協会による総合診療専門医がいること及び17の診療領域ごとの一次診療対応可能の有無と1つ目の案にある一次診療対応の他、17の診療領域における患者からの相談対応等を満たすこと。3つ目の案では、 日本医師会等によるかかりつけ医機能に関する研修の修了者又は受講者がいること又は全日本病院協会による総合診療専門医がいること。

個人的には、患者にしてみるとどの診療科を受診すればよいかが判断できないので、案2がよさそうに感じる。


2号機能とは、時間外対応・入退院の支援機能・在宅医療の提供・介護サービス等との連携による医療の提供状況に関すること。

これからの機能の報告対象となるのは、特定機能病院・歯科医療機関を除くすべての医療機関となる。ゆえに、地域医療支援病院や紹介受診重点医療機関なども対象となる。希少疾病を含めた紹介患者を基幹病院と診療所と二人主治医体制で診ていくことなどをイメージしているようだ。診療情報提供料及び連携強化診療情報提供料の実績などに注目していきたい。




〇報告時期と報告テーマごとに設定される「協議の場」の地域の範囲

そして、これらの報告については、1-3月の期間で行う。今年度より公開スタートとなっている医療情報ネット<ナビイ>と歩調を合わせることで、医療機関の負担軽減を図る。


なお、ナビイではすでにかかりつけ医機能の有無については項目が設定されており、地域包括診療料等の届出の有無などがすでに分かるようになっている(参照:患者視点だけでなく、地域医療連携視点で「ナビイ」を見る、使う)。地域住民にどのようにわかりやすく伝えるのかが大切だ。以前の検討会では星取表のような形式で、都道府県のホームページに掲載することなど示されていた。


ところで、気になるのは実際に報告を受けて、住民も含めた協議の場を設定するにあたっての地域の範囲だ。かかりつけ医機能であれば身近に感じる市区町村の範囲内での検討でよいように思われるが、希少疾病の患者や入退院支援のことを考えると、二次医療圏単位で考えていくことも必要となる。その点について、今回の審議会では「協議するテーマに応じて、時間外診療、在宅医療、介護等との連携等は市町村単位等で協議を行い、診療、在宅医療、介護等との連携等は市町入退院支援等は二次医療圏単位等で協議を行い、全体を都道府県単位で統合・調整するなど、「協議の場」を重層的に設定することを考慮することとしてはどうか」とされている。最終的には都道府県と市町村による協議で決めることになる。また、テーマごとの協議の進め方についても案が示されている。




なお、患者へのかかりつけ医機能に関する説明(努力義務になっている)についての説明の内容案、また治療に支障が生じる可能性がある場合などを考慮した説明免除の例、書面以外にもEメールや患者サマリー(電子カルテ情報共有サービスの機能の一つ)を利用する案などが具体的に示された。



かかりつけ医機能の項目が設けられたナビイが公開され、地域包括診療加算等の見直しや時間外対応加算、在宅療養支援診療所の要件の見直し(在宅患者訪問栄養食事指導を追加など)などかかりつけ医機能」に関する評価を拡充する令和6年度診療報酬改定は間もなく実施される。地域住民に選ばれるかかりつけ医機能を目指す取り組みはすでに準備が整い、動くか否かというのが今の状況であることを理解しておきたい。

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