骨太の方針2024(閣議決定されました)を読む~2030年までが改革のラストチャンス。DX推進、新たな地域生活圏の形成に注目~

6/23/2024

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 令和6年6月21日、骨太の方針2024が閣議決定された。医療分野についてみると、先日ご紹介した原案と細かな表現の見直しがあったものの、大きな方向性・取組方針には変更はないものといえる(参照:骨太の方針2024(原案)を読む)。今回の骨太の方針2024については、内容を分かりやすく図解されている資料も用意されているなどイメージがつきやすい。骨太の方針2024について、前回の原案との細かな修正点もチェックしながら、改めてポイントを確認しておきたい。


〇骨太の方針2024は短期的に取組む5つのアクションと中長期的に取組む5つのビジョンで構成

今回の骨太の方針の最大の特徴は、人口減少が本格化する2030年までの期間を改革のラストチャンスと位置付けていることだ。そこで、集中的に取組むこと、そしてそのビジョンが明確になっている。2030年以降についても記載があり、「実質1%を上回る経済成長を実現するとともに、これまでと同様に医療・介護給付費対GDP比の上昇基調に対する改革に取り組む」とある。2030年以降の人口減少下における生産性向上社会の基礎作りを集中的に行うというものといえるだろう。



こうした生産性向上社会を作るためにもその基盤となるのが、持続的な賃上げによる雇用の確保及び労働者の生活の安全確保とDX推進だといえる。



賃上げについては、診療報酬においても手当されるようになっているが、以前もお伝えしたように今後はキャリアプランの視点が必要になってくると考えられる(参照:介護処遇改善加算の経緯から考えるベースアップ評価料の今後)。今回の骨太の方針2024には「全世代型リ・スキリング」が生産性向上社会に向けて重要であることも明記されているからだ。今後は、賃上げに見合う生産性向上のための必要なスキルを従業員自らが習得するというものだけではなく、経営者・管理者層が生産性向上に必要なスキルを習得してもらうための機会を創出することがより重要になってくるだろう。

DX推進については、全国医療情報プラットフォームの環境整備が目下のテーマであり、その後を見据えた取り組みとして、ライフログを活用した「全世代型健康診断」(ウェアラブル端末の活用や保険者と事業主とのコラボヘルスなど)も視野に入っている。

なお、骨太の方針2024の原案で医療DXについては「医療費適正化の取組を強化するための必要な法整備を行う」との記載があったが医療費適正化、という文言が削除して、「医療の効果的・効率的な提供を勧めるための必要な法整備を行う」と文言が修正されている。

その他で文言が修正されている点として気づいたのは、医師・病院・診療所の偏在について総合的な対策のパッケージを 2024 年末までに策定することとされ「総合診療医の育成」がその手段の一つとして原案では記載があったが、「総合的な診療能力を有する医師の育成」に修正されている。来年度から始まるかかりつけ医機能報告制度を意識したものかもしれない。


〇その他で注目したい点「新たな地域生活圏」

デジタル化の進展、在宅医療の需要の高まりなどもあり、日常生活の圏域の考え方、そして二次医療圏の考え方を変える必要がある。そこで、国土交通省からは二次医療圏の考え方も見直した人口10万人規模を一つの圏域とした新たな地域生活圏について提示されたことを以前ご紹介した。

参照:二次医療圏の見直しと合わせて考えておきたい「地域生活圏」



骨太の方針2024では、この地域生活圏の形成に関して明記されている。

今後、医療圏の在り方、2027年度からはじまる新たな地域医療構想にも影響があることだろう。自院のカバーする圏域、圏域内での連携関係など確認をしておきたい。

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