二次医療圏の見直しと合わせて考えておきたい「地域生活圏」

10/11/2022

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 令和4年10月7日、第8次医療計画に関する検討会が行われている。もっとも基本となる「二次医療圏」の設定について、そして基準病床数について検討されているが、本稿では二次医療圏の議論についてみていきたい。

二次医療圏とは、一般の入院に関する圏域で、医療のマーケティングの考え方では最も基本的なマーケティングの範囲といえる。複数の市町村で構成されるが、こうした二次医療圏については日本医師会による地域医療情報システム「JMAP」を利用するとどういった構成でできているかわかりやすい。なお、この二次医療圏はおおむね人口30万人くらいが目安と言われているが、中には人口20万人を下回るところや人口100万人を超えるところもあり、様々だ。


そこで、現在の第7次医療計画においては人口20万人を下回る等の医療圏については、近接する医療圏に組み込むことなど見直しこととされたが、離島であったり、統合することで患者の医療へのアクセスの利便性が損なわれるなどの理由から進んでいないところも多々ある。今後も人口減少が進む地域が増えることやオンライン診療等のデジタル化の進展や在宅医療の普及も踏まえ、地域住民を主人公とした設定の在り方の見直しは必要となる地域が増えてくるのは確かなこと。そこで、改めて確認しておきたいのが国土交通省による「地域生活圏」という考え方(参照:人口減少時代の都市機能に果たす医療機関・介護施設の在り方 ~国土交通省の考える地域包括ケアシステム~)。



「地域生活圏」とは、「通勤・通学をはじめ多くの住民の普段の行動が域内で完結し、総合的な買い物サービス、救命救急を担える医療機関、大学等の高等教育機関、鉄道やバスなど域内外の交通手段等の都市的機能が提供される圏域」というもので、「人口規模で30万人前後、時間距離で1時間前後のまとまり」が目安とされてきた。しかし、デジタル技術の進展等を反映して、この「地域生活圏」は2021年見直しが行われ、「人口10万人前後、時間距離で1~1.5時間前後の範囲」とし、さらにかかりつけ医・在宅医療等についてはさらに小規模範囲となる小学校区を目安とするなど示されている。

あくまでも観測だが、二次医療圏は現状をベースに整備されていくとしても、その二次医療圏内でのサブグループを設定し、連携を強化していくことになると思われる。そのサブグループが地域医療構想の構想区域となるのか、外来医療計画における外来医師多数区域などとなるか、特に現在はそうした議論があるわけではないが、デジタル化等を前提とした都市機能を新たに見直す国土交通省の考え方はいづれ反映されていくものと考えられる。そうした前提で、地域における役割分担など進めていくことを今のうちから話し合い、利害関係の調整など行っていくことが必要にも感じる。医療に関する政策は、厚生労働省だけではなく、複数の省庁がかかわるところ。各省庁の動向を複合的に確認するように意識したい。

一方で、大規模な二次医療圏については、構想区域を活用した協議の分割などが進んでいることが確認されている。

二次医療圏は、医療計画の基本であり、あらゆる計画の基礎になっている。そのため、この二次医療圏の在り方をどう考えるかが重要で、早急に結論を出すことが求められる。



医療機関としても、医療圏の変更が自院に与える影響(医療計画の見直しに伴う病床機能の変更や病床数の見直し、外来機能の見直しなどの要請がある可能性)を注視すると共に、地域住民を主人公に、地域で医療機関が共存し、経済的・身体的に誰にも不利益を生じさせないような連携体制創りがより一層求められる。それは、政策決定を待つのではなく、先んじて行っていくことが必要だ。

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