令和6年度に向けた地域医療構想を含めた医療計画の議論の現在点と病床機能再編の今

10/05/2022

ニュース解説 経営 助成金 地域医療構想 地域包括ケアシステム 補助金

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 令和6年度は、診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス報酬の同時改定であるとともに、医療計画・介護保険事業計画・医療費適正化計画の新たな始まりでもある。そして、地域医療構想における必要病床数を達成すること、そして、勤務医の働き方改革が始まる年でもある。また、病院新設ラッシュとされる1985年から39年を迎える。この39年とは建物の法定耐用年数。病床機能報告とは、この法定耐用年数も念頭にして病床機能再編支援補助金が交付、実行されている。令和6年度は、そうした改革が集中する惑星直列の年ともいわれる。そして、惑星直列の周期は6年であることを改めて理解しておきたい(診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス報酬改定、医療計画・介護保険事業計画・医療費適正化計画の見直し、これらの最小公倍数は6)。

令和4年9月30日、令和6年度の地域医療構想を含む医療計画・介護保険事業計画に関する進捗状況を確認する「第17回医療介護総合確保促進会議」にて報告された。

医療計画の概要、そして今後の議論のタイムラインを資料から抜粋する。



地域医療構想を含む医療計画については、まず年内に国が方針を取りまとめを行い、年が明けてから告示され、各自治体で策定作業が始まる。今回の医療計画では、以下が注目されるところだろう。

・外来医療計画と外来機能報告

・薬剤師(病院・薬局)の地域偏在解消

・特定看護師の配置などの新たな目標設定

・パンデミック発生時の対応を意識した事業

・循環器病対策推進基本計画を踏まえた心血管疾患対策


ところで、今回の会議では先に紹介した「病床機能再編支援補助金」の交付状況について資料が公表されている。改めて「病床機能再編支援補助金」について確認すると、地域医療構想を実現することを目的とした病床削減のための補助金であり、単独で減少する場合、経営統合で減少する場合の2パターンがある。


2021年度の実績では、3,475床の減少なっているが、そのうち705床は本補助金の支給対象外である回復期への転換と介護医療院への転換となり、実際の補助金支給による減少数は2,770床となったことが分かっている。


兵庫県や山口県では県立病院・市立病院の公的病院や民間病院との経営統合などがよく報道されているが、こうした動き、とりわけ人口減少が進む地域においては医療従事者の集約による経営効率化及びパンデミック発生時の対応強化を目的に進むことが考えられる。ただここで気を付けたいのは、集約化することがどこの地域でも正しい選択肢とは言い切れないことだ。患者の交通アクセスなどの利便性と経済的負担も踏まえた上で、場合にとっては、開業医との連携・在籍出向などを通じた連携強化という選択肢も地域によっては正しい選択肢になる。現在、宮城県などでは地域医療構想について、住民を巻き込んだ大きな問題にもなっている。経済合理性も大事な視点だが、地域住民・患者にとっての「最善」を常に考えた取り組みが求められる。

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