ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とLW(リビング・ウイル)

5/09/2022

ニュース解説 地域包括ケアシステム

t f B! P L

 2040年から始まる本格的少子高齢社会をまた別の言い方をすれば多死社会の訪れともいえる。多死社会とは、高齢化の後に死亡数が増加し人口減少が加速する状況を言う。多死社会の訪れは、看取りの場や相続と残された親族のグリーフケアなど新たな問題と対応が求められる。なお、看取りの場について、病院で亡くなる方が8割で在宅でなくなる方が2割、それが医療費高騰の問題の一つとも指摘されることがあったが、その割合は、診療報酬や医療計画の見直しに伴う後押しがあって、変化しつつある。なお、在宅とはいうものの、施設・高齢者住宅を含めてということだ。


この多死社会に向けて、ということもあってACPやLWといった言葉が注目を集め、特に前者では診療報酬の要件に盛り込まれるなどして、社会的に大きなムーブメントを創ろうとしているのがわかる。ここでは、その言葉の定義など整理しておきたい。

まず、ACPについて。これはアドバンス・ケア・プランニングの略で、通称人生会議と呼ばれている。毎年11月30日(いいみとり)を人生会議の日として、イベントなど企画されている。


海外の診療録などではその表紙がACPになっていることもある。基本的な考え方としては、患者とその家族の思いや意向について医療介護従事者が話し合いをして、今後の治療やケア方針を決めていく、というもので、患者のおかれた環境によって変化していく意思を適宜反映できるように、繰り返しおこなわれるものだ。

一方LWとは、リヴィング・ウィルの略で、終末期医療の場面を前提としたもので、患者及びその関係者が今後の対応の希望を「事前指示書」で伝える、というもの。「尊厳死」の思想が背景にあるものと言える。患者及びその関係者の意向を伝えるものであって、専門的な視点が入っていないものとなる。
リビング・ウイルとは(日本尊厳死協会)

患者本人及びその関係者のLWを基に、ACPを実践していくことで双方が納得のエンドステージとなることが期待されている。
今後、日本においても働き手の確保などから海外人材の受け入れなども増えてくる可能性がある。そこで意識しておきたいのが宗教との関係性だ。かつて、輸血を拒否し、亡くなってしまった事件もあった。信仰の自由は誰にも侵害されるべきものではないと思うが、殉教の自由はないといえないだろうか。これからACP/LWを巡って起きうる問題として意識しておきたい。

本日の社会保障関連ニュース

本日の病院関連ニュース

本日の診療所関連ニュース

本日の調剤関連ニュース

ブログ アーカイブ

お問い合わせ

名前

メール *

メッセージ *

QooQ