医療計画の基本と今後、そして精神科医療の指標「地域平均生活日数」

5/10/2022

r4診療報酬 ニュース解説 精神科 地域医療構想 地域包括ケアシステム

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 6年を一つの周期とする医療計画。各都道府県・二次医療圏単位で作成されるもの。現行の医療計画は第7次医療計画と呼ばれ、平成30年開始・令和5年終了となっている。医療計画では、5疾病(がん・糖尿病・脳卒中・急性心筋梗塞・精神疾患)6事業(小児医療・周産期医療・救急医療・災害医療・へき地医療・新興感染症)及び在宅医療に関する取組や基準病床数、地域医療構想ついて記載することとなっている。


地域の医療問題と対応方針はこの医療計画に凝縮されている。そのため、公立病院や地域の基幹病院ともなるDPC対象病院では、医療計画に記載されている内容への対応が経営においても評価のポイントになる。
なお、この医療計画は6年周期。介護保険事業計画は3年周期。診療報酬と介護報酬の同時改定は6年周期。すなわち、医療・介護の改革は、6年が一つの単位になっている。次は2024年ということになるが、医療と介護の垣根をさらに取り払う改革、かねてより噂される地域フォーミュラリの評価や電子処方箋、かかりつけ医制度の評価など焦点となる。本年6月に閣議決定され、公表される骨太方針2022は今後の方針が示されることとなるので注目したい。

この医療計画だが、6年の中間となる3年毎に調査・評価を行い、適宜見直しをしていくこととなっている。ちょうど昨年見直され、公表されてきているが、その中で精神科医療についての話題がここ最近取り上げられている。



これまで、精神科入院医療においては、平均在院日数や再入院率といった指標が用いられてきたが、今回の中間見直しでは地域平均生活日数に見直した、というもの。以前「精神科領域の地域医療構想と地域包括ケアシステムの考え方」という話題で精神科領域における地域包括ケアシステムの考え方を紹介したが、終末期を最終ゴールとした一般医療の地域包括ケアシステムとは異なり、地域で生活をし続ける、言い方を変えると貴重な労働力ともなりうることをゴールとした精神科領域の地域包括ケアシステムとは考え方が異なることをまずは理解しておく必要がある。そのため、在宅復帰された方が一日でも長く生活し続けられることがより重要となる。そのため、令和4年度診療報酬改定でも在宅復帰された方を1年にわたって支援し、再入院を防止するための取組(療養生活継続支援加算)が評価されるようになった。


これまでの再入院率の考え方については、いわゆるレスパイト入院(ご家族や支援者の休養目的や長期出張などで留守になり患者の支援者が一時的にいなくなるなどした場合に、一時入院すること)などでも再入院としてカウントすることもあった。そこで、新たな地域平均生活日数という指標を用いることを伝えている。

たとえレスパイト入院があったとしても、その退院後の生活日数を加えた計算となることから、より実態に即したものとなる。

すでに第8次医療計画に向けた議論は昨年からスタートしている。本年から始まる外来機能報告制度、さらにかかりつけ医に関する話題など、この第8次医療計画に係る議論は山積みだ。個人的に注目したいのは、慢性心不全の対策を含めた「心筋梗塞等の心血管疾患」。団塊の世代が80歳代となる2030年から起きると言われている「心不全パンデミック」への対応を念頭に置いた循環器病対策推進基本計画の進展とともに、各地域でどのように体制を創り上げていくのか、注目したい。

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