認知症高齢者の共生社会の実現に向け、かかりつけ医機能をどう増やしていけるか。身体的拘束を最小限にする文化を創るには?

11/30/2023

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 令和5年11月29日の第568回中医協総会の資料が公表された。テーマは、調剤・在宅(訪問薬剤関連)・認知症となっている。ここでは、認知症について確認する。

令和5年はかかりつけ医機能報告制度などを含む改正医療法が成立して注目を集めたが、認知症に関しても「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が成立している。また、高額薬剤の承認など認知症対策について改めて注目が集まっている。



法律の冒頭にある「共生社会の実現」を目指していくにあたっては、在宅継続率が低いことを念頭において、かかりつけ医機能の発揮や各専門職が専門能力を発揮するためにもスピーディーな情報共有と連携が重要だ。しかしながら、連携という観点で実状を見てみると、認知症サポート医がそのままかかりつけ医も務めているケースが多く見受けられるなど、特定の医療機関・医師の頑張りに頼っている状況や、対応できる人材が拡充していないことがわかる。



そこで、今回の議論では「かかりつけ医認知症対応力向上研修」を念頭に、地域包括診療料/地域包括診療加算の要件に研修の受講を加えることと同じく同診療料/加算の実績要件にある介護保険制度に係る内容に「認知症初期集中支援チーム等の施策へ協力していること」を追加することを提案している。



しかしながら、地域包括診療料/地域包括加算はそもそも届出は多いわけではなく、届出できない理由として、所定の研修の要件がよくあげられている。研修時間の確保が捻出できるように、タスクシフトも踏まえたかかりつけ医機能に求められる業務整理も合わせて検討していくことが必要に思える。


入院に関しては、これまでの中医協の議論の中でも高齢患者割合が急性期病棟でも高まっていることを踏まえて、度々議論されてきたところ。認知症ケア加算は、そうした背景もあって、年々増加し、多くの病院では患者の尊厳を守る意味でも身体的拘束等に対するマニュアルや基準が整備されてきている。そうした環境整備をさらに推進していくことが肝心だ。



こうした認知症対策・身体的拘束への対応をさらに促進することについての議論が行われているが、加算の更なる拡充や身体的拘束の定義の明確化などが話題となるほか、病院としての文化を醸成するために病院長も実態を把握し適切な指示を出すための仕組み作りの必要性と評価の可能性など検討されている。


また、看護補助体制加算には「身体的拘束等の行動制限を最小化する取り組みの実施」が求められているが、実態として、やむなく身体的拘束は行われていることは明らかになっている。そのように実際に身体的拘束を行った場合に、認知症ケア加算と同様に看護補助体制加算でも減算することについても議論されている。先に紹介した病院としての文化の醸成に関することでもあり、こうしたペナルティのような評価については慎重な議論が必要になってくる。


認知症と似た症状を呈する「せん妄」について、せん妄のハイリスク患者を早期発見し、予防的介入を評価する「せん妄ハイリスク患者ケア加算」についても議論がされている。せん妄症状が長期間続くことで認知症が発症しやすくなることが知られていることもあってのこと、せん妄ハイリスク患者ケア加算と認知症ケア加算を合理化して連続性のあるものとする考えのように見える。今後どのように検討されていくのか、注視しておきたい。



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