地域への接近強化、地域包括ケア病棟・回復期リハビリテーション病棟の質的向上をどうやって評価するか?

11/16/2023

r6同時改定 リハビリテーション 栄養管理 回復期 経営 在宅医療 障害者施設 地域包括ケアシステム 入院医療

t f B! P L

  令和5年11月15日、第564回 中医協総会が開催された。診療報酬に関しては、入院(回復期領域)と働き方改革について議論されている。その他、薬価収載にあわせたDPCの高額薬剤判定についてなどの報告があった。ここでは、入院(回復期)について確認していこう(働き方改革についてはこちらから


〇地域包括ケア病棟、救急患者の受入れの強化などより地域包括ケアシステムをする機能を

これまで、地域包括ケア病棟に関する議論としては、高齢患者の急性期入院への対応と連動して進められてきた。

参考)

急性期の集約化と患者像のさらなる純化に向け、看護必要度の見直しと地域包括ケア病床の役割分担を論点に

地域包括ケア病床、障害者施設等入院基本料に求められる適正化


高齢患者については、地域包括ケア病棟を有する病院での受入れを促す仕組みや、急性期からの下り搬送に対する評価などががそれだ。今回の議論では、地域包括ケア病棟における救急搬送後入院に関する医療費等の様々なデータが公表され、医療費や職員の負担に応じた診療報酬上の加算などが検討される見通しだ。合わせて、在宅患者支援病床初期加算や急性期患者支援病床初期加算などの入院初期加算の引上げも期待される。



短期滞在手術等基本料3の扱いについても取り上げられ、自宅等からの受入割合や在宅復帰率の計算式等からの対象除外など検討される見通しだ。


一方で、入院期間が長くなるについて、医療費が減少していくことに合わせた入院料の逓減制の導入について厚生労働省から提案があった。DPCや急性期一般入院料に合わせる形だが、こちらについては疾病によるが、急性期入院ほどの回復過程で大きな変化が顕著とは言い難いことや先にご紹介した在宅患者支援病床初期加算や急性期患者支援病床初期加算などの入院初期加算も既にあることから、逓減制の導入についてはややネガティブではないだろうか。ただ、地域包括ケア病棟の平均在院日数は30日程度と言われているので、DPCの入院期間Ⅱのような一定の線引きはありうるのではないかとも考える。


地域包括ケア病棟の評価では在宅医療の実績も重要なポイントになっているが、実際に多いのは訪問診療の実績で、訪問看護・訪問リハ・退院時共同指導料については少なめだ。病床規別(入院料1・3と入院料2・4)にみると傾向も異なる。




特に今回の議論では、地域包括ケア病棟の入院患者の6割以上が要支援1以上であることを踏まえて、訪問看護・訪問リハについて着目した見直しを提案している。具体的には、退院直後の退院後訪問指導料の算定や介護保険による(予防)訪問看護も実績の対象に加えることで、現状ルールの実績を上回ることを示している。介護保険による訪問看護も対象に加えることと合わせて実績の基準を見直すことになるだろう。




また、在宅との連携で重要な入退院支援についても議論された。来年度は介護報酬と障害福祉サービスも同時に改定されることから、以前もお伝えしたように更なる連携の強化が求められている(参照:高齢者施設・障害者施設等・介護支援専門員への「超」接近を ~医療・介護・障害福祉サービスの連携の評価~)。施設類型ごとの連携状況に関する資料、退院を難しくしている資料などからは、施設類型やかかりつけ医機能の有無、終末期対応のできる事業者かなど、詳細な連携先の実績が求められる可能性もあるだろう。今から、地域の環境を確認しておきたい。



〇回復期リハビリテーション、質的向上と地域貢献の視点が重要に

回復期リハビリテーションについては、ここ数年はFIM評価の在り方が常に話題になっているが、今回の議論では第三者評価の受審を促すことでFIM測定の妥当性をさらに促進しようという考えをさらに進めていこうとしているのが分かる。


また、成果の出るリハビリテーションの進め方を追求するべく、重症度別のリハ提供単位とFIMの推移などを提示し、疾患別リハの上限及び体制強化加算の在り方の見直しを検討していることが分かる。なお、運動器リハについて、リハビリテーションの提供単位数とFIMの変化に大きな影響がなかったとの報告があったことがやや気になる。



さらに、発症後の早期からのリハビリテーション開始がFIMに大きな影響を与えることも伝えられており、入棟からの早期開始に対する評価など考えられる。


ところで、回復期リハビリテーション病棟においても身体的拘束が少なくはないこともこれまでの議論でも問題視されてきていた。ただ、しっかりとリハビリテーションは提供されていることから、安全管理目的が主たる目的のようでもある。しかしながら、身体的拘束はされる側もさることながら、ご家族などのことを考えると、良いこととは言えない。そこで、必要最低限の取組に抑えるための措置が取られることとなりそうだ。医療安全の観点、解除する基準の明確化、カンファレンス、記録が重要になってくるのではないだろうか。


地域包括ケアシステムの中で常に不足しがちなリハビリテーションの機能や知識を地域に向けて発信していくことや、退院前訪問を積極的に行い連携を深めるための診療報酬上の評価拡充についても議論されている。退院後も継続してリハビリテーションを提供し、ADLを維持向上してくには、地域との協力は必要不可欠だ。しかしながら、退院前訪問指導の実績については約40%の病院で実施していないことや、介護保険事業者との連携に課題があることが問題視されている。



退院前訪問指導の促進に向けた見直しや、地域の介護事業者や行政機関との連携など、外に向けた発信にも注目が集まる内容となりそうだ。リハビリテーションが提供できる人材、施設は地域共有の財産、といった発想を持ちたい。

本日の社会保障関連ニュース

本日の病院関連ニュース

本日の診療所関連ニュース

本日の調剤関連ニュース

ブログ アーカイブ

お問い合わせ

名前

メール *

メッセージ *

QooQ