医療資源投入量に合わせて療養病棟の医療区分を9つに。入院料Iでのリハ提供単位に上限を検討も。

11/23/2023

r6同時改定 リハビリテーション 看護師 経営 在宅医療 地域包括ケアシステム 慢性期

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 令和5年11月22日、第566回中医協総会が開催され、BS(バイオ後続品)を含む後発医薬品とリフィル処方箋・慢性期入院(療養病棟と障害者施設等入院基本料)・精神医療について議論された。ここでは、慢性期入院について確認していこう。

これまで、慢性期入院の療養病棟についての議論で大きなポイントになっていたのは、医療区分2・3を細分化して医療資源投入量にあった評価の検討、他の入院料と比べて入院料Iではリハビリテーションが多く提供されていることへの対応、中心静脈栄養の扱いといったところ。

参考)療養病棟における医療依存度の高い患者を詳細に見極め、診療報酬上の評価を検討へ

今回の議論では、医療区分2・3に該当する項目について、さらに「疾患・状態」と「処置」の2つに分けて構成した組み合わせたモデルを提示した。従来医療区分1と合わせて、全部で9つの新たな医療区分のパターンとなるが、さらにADL区分もクロスしていくことになるので、入院料は27パターンとなる見通しだ。



今後、今回のモデルに基づき点数設計などされていくことになるが、従来の入院料との点数変化に伴う収益にも影響が考えられると共に、細分化されることで事務作業も煩雑になる可能性があるため、実際に採用されることになった場合は、一定期間の経過措置が設けらえることになるだろう。

なお、今回の資料の中に介護医療院・介護老人保健施設・介護老人福祉施設等で提供可能な医療の実績についても公表されている。医療区分そのものの見直しの参考ということで、今回の新たな点数設計に合わせて、介護で対応可能なものについては区分からの除外や引き下げが考えられるだろう。警戒しておきたい。


入院料Iでリハビリテーション量が多いことについての見直しの可能性についても検討されている。入院Ⅰでは低くなる入院基本料だが、リハビリテーションの量でカバーしている可能性について指摘されていたことへの対応だ。なお、入院料Iでの平均的なリハビリ提供料は3.22単位/日と明らかにされているが、地域包括ケア病棟での実施量と比べても多く見える。



医療依存度等も低い入院料でのリハビリテーションに限定した算定への制限を求める可能性は高そうだ。入院料全体に対しての算定制限は可能性としては低いのではないだろうか。リハビリテーションに制限を設けていくことは、地域全体にも影響を与えることになる点に注意が必要だと最近感じる。ある人口5万人規模の自治体のことだが、唯一の介護老人保健施設が今年度をもって廃業するとのこと。その原因は、人口減少もさることながら、高齢人口の減少が始まっていることと人員不足。特に深刻なのは、高齢人口の減少だろう。最近の介護報酬改定では、医療機関と在宅の中間施設である介護老人保健施設のリハビリテーション機能の強化や早期退所・早期在宅復帰を強力に促進すべく、実績に基づいた介護報酬の設計となっている(参照:第231回社会保障審議会介護給付費分科会)。当然だが、早期退所を促すということは、新たな入所がなければベットは空いたままになってしまう。高齢人口の減少は、この空いたままの状態を作る。


今後、各地方都市でも介護老人保健施設の廃業はぽつりぽつりと耳にすることになっていくだろう。そうなった場合、在宅復帰に向けたリハビリテーションの提供料に影響が出てしまう。回復期リハビリテーション病棟等があればと思うが、回復リハビリテーション病棟でのリハビリテーションはその名の通りの機能回復が目的で、日常生活に必要な動作を取り戻す目的のものとは少し異なる面がある。今後、リハビリテーションの行き場が限られてくる地域においては入院料Iのリハビリテーションが求められることもあるかもしれない。地域医療構想調整会議の場などでの話し合いが必要になってくるのではないだろうか。

中心静脈栄養については、常に議論の的になっていたところ。中心静脈栄養の投与患者は増加の傾向。


前回改定では摂食機能又は嚥下機能の回復に必要な体制を有していない場合の評価を見直したところだが、内視鏡嚥下機能検査あるいは嚥下造影検査の実施が1件でもある施設では、中心静脈栄養を実施した患者が経口摂取等へ移行する割合が高い傾向などが分かってきており、検査の実施を何らかの評価に組み込むことが考えられる。なお、中心静脈栄養については、重症度、医療・看護必要度のA項目にある「注射薬剤3種類以上の管理」を見直すことなどによる対応も注目される。ところで、今回の議論では中心静脈栄養に関するに医療区分について、適応疾患か否かどうかで判別することが提案されている。


一律に疾患で縛りをかけてしまう、というよりは適応疾患を基に個別の症状・状況で判断する、ということになるのではないだろうか。高齢患者の場合は、状況判断が重要だ。なお、中心静脈栄養の留置は身体的拘束にも関わってくる。回復期リハビリテーション病棟でも対応が検討されているように、療養病棟においても対応策の厳格化や身体的構想を実施している機関の減算対応などの可能性に気を付けておきたい。


慢性期入院では、障害者施設等入院基本料についても議論されたが、これまでの議論を踏襲した内容だといえる。

参考)地域包括ケア病床、障害者施設等入院基本料に求められる適正化

障害者施設等入院基本料では「重度の肢体不自由児・者、脊髄損傷等の重度障害者、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者、難病患者」が全入院患者の「概ね7割以上」という基準があるのだが、「概ね」というあいまいな表現の影響もあり、実は基準を満たしていない病院が一定数あることが確認されている。さらに、そうした基準を満たしていない患者として慢性腎不全の患者が多く、人口透析を実施する患者もいることが分かっている。



「概ね」というあいまいな表現の削除による厳格化、人工透析については療養病棟と同様に評価することなどが検討されていくことになりそうだ。

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