バイオシミラーの使用促進を入院でも。リフィル処方箋の推進は患者への周知を評価する方策を。

11/23/2023

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  令和5年11月22日、第566回中医協総会が開催され、BS(バイオ後続品)を含む後発医薬品とリフィル処方箋・慢性期入院(療養病棟と障害者施設等入院基本料)精神医療について議論された。ここでは、BS(バイオ後続品)を含む後発医薬品とリフィル処方箋について確認していこう。

令和6年度からの第四期医療費適正化においては、後発医薬品の使用促進策が盛り込まれており、更なる促進に向けて、フォーミュラリの活用などがうたわれている。フォーミュラリについては、本年7月に運用に関する通知が発出され(参照:骨太方針2021に基づき、フォーミュラリガイドラインが示される)、令和6年度診療報酬改定において、病棟薬剤業務実施加算やDPCの保険診療係数などでの評価が期待されるところ。



ただその一方で、後発医薬品については23年9⽉時点でも出荷制限や供給量が減少している品⽬が全体の2割を超えている状況だ。後発医薬品に関する診療報酬上での特例措置が本年12月までおこなわれることや、出荷停止等になっている後発医薬品については、後発医薬品の使用割合の算定の際、除外されるなどの対応が続けられている。





問題は、この特例措置の期限の延長を認めるのかどうかだが、結論は出ておらず、年明けまで結論を待つ必要がありそうだ。11月24日に開催される中医協では、長期収載品に関する議論が行われる予定になっているが、ここで注意しておきたいのが、後発医薬品のある先発医薬品と後発医薬品の薬価差を患者自己負担とする議論が進んでいることだ(参照:入院時食事療養費と後発医薬品のある長期収載品、患者の自己負担を求める方針へ)。そもそも、供給不安問題の原因は患者にあるわけではないにも関わらず患者が負担を一部強いられている。医療従事者の負担もあるわけで、本特例で一方的に患者だけが負担を強いられているというわけではないが、本来は患者自身も負担を抑えることがメリットでもあるはずだが、そのメリットが薄まってしまっているともいえる。そして、議論されている長期収載品の患者自己負担が採用された場合に患者に理解が得られるか、やや気にかかる。そう考えると、現状の後発医薬品使用体制加算等は減算方式(80%を基準?)にして、特例で加算する分は継続するなどの方法も一つの選択肢になってくるのではないかと個人的に思う。11月24日の中医協総会の議論もみながら、今後の動向を注視しておきたい。

バイオシミラー(BS、バイオ後続品)についても今回議論されている。こちらも第四期医療費適正化計画にて目標値が設定され、診療報酬改定での新たな評価拡充が期待されているところ(参照:数量ベースから金額ベースへ。後発医薬品の使用促進策の今後)。


今回の議論では、バイオ後続品導入初期加算で対象となっていない成分への拡充と共に、入院におけるバイオ後続品への切替を促すことを評価することの検討が行われている。


バイオ後続品は後発医薬品と異なり、再審査期間や特許満了日が満了していない適応症については取得できない、いわゆる「虫食い効能」となっているものもあり、注意が必要となる。入院での切替に関しては、患者説明とモニタリングなどの体制まで求められることになるなどの要件も可能性として考えられる。

リフィル処方箋についても、第四期医療費適正化には盛り込まれている(参照:数量ベースから金額ベースへ。後発医薬品の使用促進策の今後)。先日の財政審でもリフィル処方箋が思うように進んでいないことから、調剤料をリフィル処方箋で期待した成果が出るまでペナルティ的に引き下げることなど提言されていたのが記憶に新しい(参照:財務省・秋の建議に向けた議論を開始。診療所・病院・薬局別に注目ポイントを確認します。)。


リフィル処方箋については、とりわけ保険者の活躍が期待されるところ。やはりポイントとなるのは、患者への周知と患者からの要望を出してもらうことだ。保険者は後発医薬品の差額通知なども行うなど、患者に対する発信力がある。そこで、保険者努力支援制度においてリフィル処方箋に対する取組を新たに評価する方針となっている。したがって、今後、後発医薬品の差額通知と同じようにリフィル処方箋に関する通知も来ることになるだろう。すぐに、ということはないかもしれいないが、患者の行動にもジワリと変化が出てくることを見据え、医療機関でも備えが必要になるだろう。


当然ながら、医師からのリフィル処方箋に関する周知・要望があった場合の対応が最もわかりやすく、即効性がある。そこで、長期処方となっている患者の疾病・年齢等の傾向に基づき、地域包括診療料/地域包括診療加算や特定疾患療養管理料、生活習慣病管理料などを算定する医療機関におけるリフィル処方箋の周知・対応に関する取組を要件等に加えていくことなどが考えられそうだ。院内掲示物やホームページでの周知や療養計画書などにリフィル処方箋に関する記載項目を設けるなど考えられるだろう。また、生活習慣病等を対象に28日以上の処方を評価する特定疾患処方管理加算について、さらなる長期処方の可能性についても検討されることとなりそうだ。リフィル処方箋と同様に、受診間隔が大きくなることにつながる。


患者の経済的負担の軽減、さらに軽症者の受診回数の抑制をすすめることで、医療費抑制と医師の負担軽減にも大きく貢献できることになる。そうした時代に対応すべく、いち早く備えることを今回の議論は教えてくれているように思える。

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