精神科領域における入退院支援部門に対する評価を検討。地域移行機能強化病棟の新規届出の期限と要件を見直しへ

11/23/2023

r6同時改定 外来診療 経営 精神科 入院医療

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  令和5年11月22日、第566回中医協総会が開催され、BS(バイオ後続品)を含む後発医薬品とリフィル処方箋慢性期入院(療養病棟と障害者施設等入院基本料)・精神医療について議論された。ここでは、精神医療について確認していこう。


精神医療の現状についてまずは確認しておきたい。ポイントは以下になる。

・総患者数は、増加しているが、精神病床数及び精神疾患を有する入院患者数は、ともに減少傾向

・精神病床全体の平均在院日数は減少している一方、長期入院患者の高齢化とともに、5年以上の長期入院患者数が顕著に減少傾向

・入院期間1年以上の慢性期患者の病床ニーズは縮小する見込みであるが、1年未満の患者の病床ニーズは増加すること推計

・新規に入院する患者について、1年以内に退院した患者であっても、退院後1年以内に約3割が再入院している

・非自発的入院のうち、医療保護入院による入院患者が約半数

・外来患者数は、増加傾向であり、気分障害等の患者や低年齢の受診患者等が特に増加







人口に占める高齢者割合が高まることで、精神医療でも高齢患者が増えてくるのは当然のこと。入院期間が長い患者の場合は、入院と共に年を召されていく。その一方で、外来では低年齢の患者が増えてきているという、現代社会の課題を表すかのような構図になっている。

政策として直近で確認しておきたいのは、第8次医療計画や改正精神保健福祉法だ。改正精神保健福祉法は令和4年度に改正されているものだが、第8次医療計画やトリプル改定を見据えてなのか、令和6年度に施行されるものがある。それが、医療保護入院の見直しと退院促進措置の見直しだ。


ここ最近の精神科領域の診療報酬改定は、特に退院促進・再入院防止に力点を置いて行われてきている。いわゆる「包括的支援マネジメント」と呼ばれるもので、多職種連携を基盤にした退院に向けたカンファレンスや退院に向けた支援、退院後のフォローを一連の流れの中で提供していくもの。入院日数や再入院率などでの成果も報告されている。




しかしながら、精神科領域の退院時共同指導料などの退院調整に関する診療報酬は比較的充実してきているものの、包括的支援マネジメントでも肝となる一般入院医療であるような入退院支援加算のような入退院支援に関する評価が存在しない。


先に紹介したように、精神科領域でも入院期間の短縮化や地域支援体制も整ってきている状況から、精神科領域の入退院支援加算の新設を検討することとなりそうだ。

精神医療においても医療従事者の負担軽減は課題となっていると共に、先に紹介した長期入院患者の減少に伴って救急・急性期等への手厚い人員配置と外来・在宅を含む地域支援体制構築に向けての人的リソースの再配分が重要なテーマになる。


平成28年(2016年)度診療報酬改定で新設された地域移行機能強化病棟は、こうした状況を創ることに貢献したものと知られるが、新規届出は現状ルールでは今年度末までとなる。そこで、新規届出を延長することを厚生労働省は提案している。


しかしながら、地域移行機能強化病棟に求められる要件についてはハードルが高いのも事実。そこで、要件の見直しについても提案され、第8次医療計画が求める長期入院患者数の更なる減少を見込んだ病床数等の目標値の達成を後押ししたい考えだ。例えば、地域移行機能強化病棟の届出でネックになっているのが精神保健福祉士の確保があげられている。そこで、「精神保健福祉法において、退院後生活環境相談員として退院支援業務を担う資格を有する職種を配置することによっても、要件を満たせることとしてはどうか」といった具体的な提案がされている。


入院患者数の減少傾向は今後も継続していくことになるが、緩やかなダウンサイジングを進めていくにあたっては地域移行機能強化病棟の届出は有用だといえる。そして大事なことは、人的リソースの再配分だ。増える傾向にある外来等での新たな活躍の機会をどのように創っていくか、包括的支援マネジメントのどういったパートを担うか合わせて考え、再入院率低下を成果目標とした地域での役割分担を明確にしていくことが求められる。

今回の議論では、児童思春期の患者の診療体制についても議論されている。初診待機が課題として挙げられ、問題解決となるように多職種へのタスクシフト、チーム医療の推進を進めるための環境整備(研修の受講など)への取組を評価することなどが提案されている。

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