DPC対象病院の新たな要件(退出ルール)の考え方が示される。そして、新たな点数設定方式の検討へ。

11/26/2023

r6同時改定 急性期 経営 地域医療構想 入院医療

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 令和5年11月24日の第567回中医協総会の資料が公表されている。テーマは、DPC/PDPS・長期収載品・緩和ケアとなっている。なお、今回の中医協総会では医療経済実態調査の結果が公表されている。様々なメディアで報道されているように、病院の厳しい経営状況が伝えられる一方で診療所・薬局の安定しているともいえる経営状況が伝えられている。先の財政審での診療所に対する厳しい指摘もあったこともあり、報道では診療所に対する風当たりの強さを感じる。

参考)

一般病院・診療所、コロナ補助で黒字 22年度厚労省調査(日経新聞)

「一般病院」昨年度収支 黒字 コロナ患者受け入れ補助金含めて(NHK)

22年度収支 病院は赤字、診療所は黒字拡大 医療経済実態調査(毎日新聞)

今回の結果を受けて、近々開催される中医協にて委員それぞれの立場からの分析・見解が行われる予定なので、その際に改めて本ブログでは紹介したい。

ここではDPC/PDPSについての議論を見ていこう。

DPC/PDPSについては、退出ルール(DPC対象病院の要件の見直し)、医療機関別係数、入院期間の検討について取り上げられ、検討が進められる。

参考)

DPC/PDPSに関する見直し、「規模と診療科数に応じた評価」「入院期間Ⅰの評価」「短期滞在手術等基本料」に注目

DPC対象病院の要件と退出ルールの検討の方向性が明らかに

今回の議論では、見直しが明確に提示されているので、それぞれのポイントを見ていく。

まずは、医療機関別係数について。


保険診療係数については、そのものを廃止する、というよりも解体する、という方が正確だ。保険診療係数を構成する「適切なDPCデータの作成」については、後述する退出ルールの考え方で、「病院情報の公表」については、地域医療係数にある体制評価指数で評価する、という具合だ。体制評価指数とは、医療計画にある5疾病6事業への取組状況を評価するもの。来年度は第8次医療計画も始まるため、内容の見直し(例えば、感染対策に関する都道府県との協定の有無など)が図られることに伴い、新たな項目を追加する方向で検討される。いかに新たな項目を列記する。

・脳死下臓器提供の実施

・多職種協働による医療提供

・医師少数地域への医師派遣機能(大学病院本院群に限定?)

・外国人患者の受け入れ体制(外国人患者受入れ医療機関認証制度等の有無と実績?)

・医療の質向上に向けた取組

先ほど保険診療係数の解体で、病院情報の公表について触れたが、今回の新たな項目の追加の中になる「医療の質向上に向けた取組」の中に組込むことが考えられている。なお、医療の質向上に向けた取組とは、厚生労働省補助事業「医療の質向上のための体制整備事業」の9指標(医療の質可視化プロジェクト適用指標)に係るデータの提出(この中にDPCデータを活用したものが含まれている)に基づく指標の算出・公表などを評価することが検討される。


DPC対象病院の新たな要件についてを確認する。


厚生労働省からは具体的に1月あたり90を下回るデータ数の病院及び適切なDPCデータの作成に関する基準を設けた上で、該当する病院については、基礎係数において新たな病院群を設けてDPC点数等を算出するデータから除外する、というものを想定している。機能評価係数Ⅱについては新たな病院群でも適用される。令和6年度の診療報酬改定でこうした新しい設定をし、現在のDPCデータが出揃う令和8年度からの判定開始となる予定だ。DPCデータの精度の向上を図ることで、医療機関の不平等を解消することを期待している。

入院期間の新たな設定について確認する。



入院期間について、ある疾患の入院期間ⅠのDPC点数では投下した医療資源量を回収できないために、やむなく入院期間Ⅱまで入院を継続して回収する、ということがある。そこで、実態に即して点数設定方式Bへの移行を検討することや標準化が進んでいる診断群分類用に新たな点数設定方式を設けることが提案されている。新たな点数設定方式については従来の点背う設定方式Dとの違いなどをどう明確にするかなど課題もある。

その他、毎年3月後半に公表されている退院患者調査の在り方についても議論されている。すでにDPCについては定着した感もあることから、「影響評価」という表現ではなく今後は利活用を目的とするような「評価・検証」という表現を用いることやモニタリング項目を公表データに追加することについて提案されている。なお、従来通り3月後半の公表に変わりはなさそうだ。


第8次医療計画に合わせること、データの質・信頼度を高めるための厳格な要件(退出ルール)の設定、入院期間の見直しなど、思いのほか影響の大きな見直しとなりそうだ。地域医療構想の進展で、高度急性期が非常に限られ、重症者がますます集約されてくることになる。DPC対象病院には、質の向上・効率性の追求と共に、医療計画への貢献など公益性の追求の視点も必要だ。

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