令和5年11月24日の第567回中医協総会の資料が公表されている。テーマは、DPC/PDPS・長期収載品・緩和ケアとなっている。なお、今回の中医協総会では医療経済実態調査の結果が公表されているが、各委員からの評価・分析結果が近いうちに中医協で公表されるので、その際に改めてお伝えしたい。ここでは、緩和ケアについて確認する。
緩和ケアについては以下の3点について議論されている。
・多様な苦痛に対応する緩和ケアの提供について
・切れ目のない緩和ケアの提供体制について
・非がん等の緩和ケアについて
多様な苦痛についての議論では、精神症状に対する評価の在り方と緩和的放射線治療・神経ブロックの実施に対する評価の在り方についておこなわれている。専従または専任の精神科医がいる医療機関の方が、精神症状についての対応依頼の割合が多いことが分かっている。
なお、がん診療連携拠点病院において緩和ケア診療加算の届出施設の割合は81.6%。拠点病院とはいえ、100%というわけではなく、精神科医の確保が課題となっている。そこで、がん診療連携拠点病院等での精神科医を配置する要件の設定を検討することとなりそうだ。
また、難治性がん疼痛においては緩和的放射線治療や神経ブロックが痛みの緩和に有効であることが確認されていることから、がん診療連携拠点病院等でも実施されているケースがある一方で、その他の病院や在宅診療を行う医療機関では実施が困難とされている。そこで、実施できる医療機関との連携なども含めた評価を検討することとなりそうだ。
切れ目のない緩和ケアの提供体制については、外来腫瘍化学療法診療料での緩和ケア介入に関する評価を検討することとなりそうだ。外来腫瘍化学療法診療料を届出る医療機関での外来緩和ケア管理料の届出等が少ないことがその背景にある。治療初期段階からの介入がその目的だ。
また、がん診療連携拠点病院以外での入院治療している患者に対して、ICT等を用いたがん診療連携拠点病院との連携で緩和ケアを提供できる環境整備についても検討されている。拠点病院として、地域全体の医療の質向上と治療の維持継続を目指した内容だ。病院の機能や専門性別の基幹病院には地域貢献・診療の維持・継続の取組が求められている、今回の診療報酬改定の特徴の一つだともいえる。
非がん等の緩和ケアについてでは、心不全やCOPDといった非がん患者に対する在宅場面での麻薬による症状緩和に対する評価について議論されると共に、小児患者に対する緩和ケアの評価の在り方についての議論が行われている。
治療早期から専門的な緩和ケアチームがかかわることで、うつ症状が減少し、生活の質(QOL)が改善するのみならず、生命予後が改善するとの報告もある。身体的な痛みだけではな、精神的な痛みにも着目した全人的医療の提供を、場所に依存せず、地域内で亭教室透けることができる環境整備が着々と進められている。