敷地内薬局はグループとしての評価へ。在宅移行期の医師との連携で処方提案等に対する評価を検討。

11/30/2023

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  令和5年11月29日の第568回中医協総会の資料が公表された。テーマは、調剤・在宅(訪問薬剤関連)・認知症となっている。ここでは、薬局関連ということで、調剤・在宅(訪問薬剤関連)について確認する。

薬局に関しては「患者のための薬局ビジョン」に基づいて、粛々と進められている(参照:改めて読み返し、基本姿勢に立ち返るための「患者のための薬局ビジョン」)。最終的なゴールは2035年で、日常生活圏でかかりつけ機能を発揮する、という目標が設定されている。その目標達成のためには、2025年までに、すべての薬局をかかりつけに、といった中間目標が設定されており、これが対人業務の強化を指していると考えられる。地域連携薬局や地域支援体制加算といった体制整備だけではなく、服薬フォローなど薬剤師だからこそできることの評価の拡充だ。そして、2035年には日常生活圏でかかりつけ機能を、となっていることもあり立地に依存した経営・役割からの脱却を目指すべく、調剤基本料の引下げを行うと同時に対人業務の比重を高めていく経営への転換を政策として促しているその最中にあるのが現状だ。

参考)

対人業務の比重が高まる薬局経営、次回改定に向けた議論の論点整理が行われる

調剤報酬のトレンドは、対人業務の質と比重を高める方向に突き進むこと


今回の議論では、調剤基本料についての話が中心だ。

調剤基本料は、先の述べた政策誘導もあり、調剤基本料1の要件が厳しくなると共に、グループ調剤の規模によって厳しい見直しが続いている。


そうした状況にあって、いわゆる敷地内薬局(特別調剤基本料)は損益率が高く、件数も増加しているなど、ある意味で「ビジネスモデル」が確立されているかのような格好だ。



こうした敷地内薬局については、医療機関の敷地内にありながら連携がうまくとられていないことや、がん等に強みを持つ専門医療機関連携薬局も多くある一方で地域への貢献というよりも同一敷地内にある医療機関への貢献といった側面が強いことが指摘されており、地域支援体制加算等の必要性などもささやかれているところだ。



また増加を続ける敷地内薬局の傾向として、300店舗を超えるグループ調剤が開設している傾向にあることから、調剤基本料3にあるように、一定規模のグループ調剤によるものであれば、グループとしての評価にすることが提案されている。その場合、処方箋集中率や地域支援体制加算などの評価は従来通りに沿うことになるとのことで、その敷地内薬局単体の評価は上がることになるが、グループ全体としては大きな影響を受け、総合的に調剤基本料が引き下げられることになってしまう。かなり影響が大きくなることが考えられると共に、既に開設している場合の対応も考える必要があるため、慎重な議論が必要だ。薬局の多くは、株式会社であり、上場しているので、出資者(株主)に影響もでてくる。

なお、調剤基本料の議論の中では、処方箋集中率70%未満かつ処方箋受付回数4,000回以上の薬局の損益率及び損益差額が高い傾向にあることが紹介されている。引き下げの対象になる可能性あるので注視しておきたい。


かかりつけ薬局の機能を評価する地域支援体制加算では、多くの実績要件が設定されている。その実績については、加算1-4で顕著に差があるものが明らかにされた。次回改定では、差が大きなものにについては、実績件数の見直しの可能性がある。


なお、認定薬局の届出の有無についても確認されている。これまでの議論の中で、地域連携薬局の認定を受けていることなどを要件に追加することも検討されたことがあった。地域へへの貢献の視点について深く話し合われている。健康増進、パンデミック発生時などを踏まえて、薬局が地域に果たす役割についての評価について検討が進められていくことになる。ホームページ等による情報発信など、これまでの中医協でも議論に上がったことは頭の片隅にいれておきたい(参照:調剤報酬のトレンドは、対人業務の質と比重を高める方向に突き進むこと)。




そのほか調剤に関しては、リスク管理計画に基づく患者向けの情報提供資材を活用するなど、メリハリを付けた服薬指導に対する評価の可能性、業務において大きな負担となっている服薬管理指導料における薬剤服用歴の合理化、薬局からの貸与が基本とされている薬剤の容器について返却されても再利用されていない実態があることから取り扱いを見直すことなど議論されている。


今回の議論では、在宅として訪問薬剤関連についても合わせて議論された。以前もお伝えしたが在宅における無菌製剤処理や医療用麻薬管理等に関するコストを調剤報酬の中でどのように評価していくかといったことが改めて検討されている(参照:調剤報酬のトレンドは、対人業務の質と比重を高める方向に突き進むこと)。



訪問回数の評価についても、終末期の場合は回数が増えてくること、看取り後も残薬の対応など必要な業務が薬剤師にあることを踏まえた評価をすること、他にも時間外及び緊急時対応についても検討されることになる。




訪問薬剤については、在宅移行期の業務(多職種連携を通じて、退院時処方に基づく薬剤の調整、残薬整理、服薬管理方法の検討等が必要)に関する評価がないことについても取り上げられている。なお、通常の訪問薬剤業務とは異なり、在宅移行期においては処方される段階での医師との連携の場面もあることから、薬剤師による処方提案なども含めた薬剤師に対する評価が検討される見通しだ。




施設入所者への訪問薬剤業務については、以下の点について評価の可能性について議論されている。

・現在が算定不可となっている介護老人保健施設等の入所者等の処方箋を薬局が応需した際の調剤・訪問薬剤管理指導の業務に関する評価の検討

・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)での薬剤業務(新規入所者の持参薬確認・再分包所時等の業務など)に対する評価

・在宅から一時的に短期入所した患者の継続した薬学管理等の業務についての評価



調剤基本料に関する見直しは、対人業務の比重を高めることの必要性を示している。さらに、今回の議論から見えてくることは、地域及び住民への「わかりやすい情報の発信力」だともいえる。いづれは、伝わっているかどうかの実績までが患者の受療行動の変化などをベースに評価されていくことになるだろう。伝える、だけではなく、伝わる、ということまでこだわった取り組みが必要になってくることをちゅねいに意識しておきたい。

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