電子処方箋の導入状況がわかるダッシュボードを公開。電子処方箋に期待されることなどを、診療報酬・医療費適正化計画からも確認する

8/02/2024

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 デジタル庁のホームページには政策に係る取組状況を可視化したダッシュボード(参照:政策データダッシュボード一覧デジタル庁>)がある。そのダッシュボードに電子処方箋の導入状況の可視化が新たに追加されている。このダッシュボードでは、全体・都道府県毎の他、導入施設種類別の切り口で状況が分かるようになっている。


比較的導入が進んでいるという薬局でもまだ37%という状況だ。こうした状況もあり、今年度は公的病院等を中心に取組を強化していく。地域の中核病院から近隣の医療機関・薬局へと波及効果を期待されるところ。そのため、国からの支援の他、自治体独自の支援も予定されている地域もあるので、J-Net21などの補助金・助成金情報を定期的に活用、確認することをお勧めしたい(参照:医療・介護領域で利用できそうな補助金・助成金について(令和6年5月10日時点))。



電子処方箋を巡って、改めてその意義などを確認しておきたい。


〇電子処方箋の導入は、医療従事者の働き方改革と医療安全に貢献する
電子処方箋とは、単に処方箋を電子化する、というものではない。重要なポイントは「電子処方箋管理サービス」を利用して、電子化された処方箋をやり取りするシステムである、ということだ。処方に関するデータべースといえる。そのため、病院内においてもこの電子処方箋管理サービスを利用した重複投薬防止やポリファーマシー対策に活かせるものだ(参照:電子処方箋管理サービスにリフィル処方箋が対応。患者向けの資材も合わせて公表される。)。先日公表されたポリファーマシー対策の手順書などにもそうした記載がある(参照:院内でのポリファーマシー対策は院内の専門医療チームとの連携で効率的に。地域では地域ポリファーマシーコディネーターを定め、患者個別に薬剤調整支援者による対応を
)。故に、電子処方箋を導入することは、医療従事者にとっての負担軽減・業務効率化につながることになり、患者にとってみれば医療安全にもつながることとなる。



〇第4期医療費適正化計画と令和6年度診療報酬改定との関連性を確認
医療費適正化計画とは、国が大きな方針を決め、各都道府県は各地の実態に基づき目標値と期日、取組内容を策定するもの。有名な施策としては、特定健診・特定保健指導の実施割合を高めること、後発医薬品の使用促進(数量割合80%以上)などがある。今年度から始まっている第4期医療費適正化計画では、後発医薬品の更なる使用促進として、バイオシミラーに関する新たな目標値の設定が行われている。他にも、入院病床を削減していくための施策として、化学療法を極力外来へ移行していくこと、白内障手術を外来で行うなど新たに盛り込まれ、診療報酬でも反映されたところだ。後発医薬品の更なる使用促進策としてのフォーミュラリの取組や、重複投薬等の確認ができる電子処方箋の普及で伴い高齢者医薬品の適正使用の推進を図ることが明記されている。令和6年度診療報酬改定は、こうした様々な政策を後押しするために医療DX推進体制整備加算が新設されたり、薬剤総合評価調整加算の要件の見直しが行われたところだ(参照:院内でのポリファーマシー対策は院内の専門医療チームとの連携で効率的に。地域では地域ポリファーマシーコディネーターを定め、患者個別に薬剤調整支援者による対応を)。
電子処方箋に期待されているのは、重複投薬及びポリファーマシーを防ぎ、患者が正しく服用し続けることだといえる。また、マイナポータルを通じて患者自身が処方履歴などを確認できることから、患者本人が意識して治療・療養に参画する取組が今後は重要になってくる。そこで期待されるのが電子版お薬手帳だといえる。単に処方履歴だけではなく、禁忌情報なども確認できるようにすることで、患者の生活スタイルも変わる。そのためにも、医療機関・薬局側から、患者への情報発信が必要だ。本年4月より新たになった医療情報ネット<ナビイ>からの発信もさることながら(参照:患者視点だけでなく、地域医療連携視点で「ナビイ」を見る、使う)、令和7年度から施行されるかかりつけ医機能報告制度におけるかかりつけ医(参照:かかりつけ医機能報告制度、1号機能・2号機能に求める報告内容等が大筋で決まる。)から、また既にある地域連携薬局や地域支援体制加算の届出のある薬局などに特に期待される。

先ごろ見直された医療DX推進体制整備加算では、本年度中(令和7年3月までに)に電子処方箋の導入がなければ、来年度からの算定が不可になることとなっているが、今後の導入状況を見ながら、その要件について見直される(参照:医療DX推進体制整備加算におけるマイナ保険証利用率決定。医療情報取得加算は本年12月より要件を見直し存続へ。)。医療従事者の負担軽減の観点からも有用であることを改めて理解し、導入に向けて進んでいいただきたい。健康保険証の新規発行も12月2日以降は無くなるなど、思っている以上にDX化は早く、導入される側の意思・意向に関係なく進んでいく。いずれは導入をすることになるのであれば、早くから慣れ、使いこなせるようになっておくことが長い目で見れば有利だと考える。

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