【2025年10月レポート】増加基調が続く急性期一般入院料1、全体では増加が続く在宅医療関連だが、取り下げをする医療機関も少なくない
弊社(HCナレッジ合同会社)で毎月集計している施設基準情報より、新たな地域医療構想・地域包括ケアシステムでもポイントとなる届出情報にフォーカスして現況等について毎月ご報告しています。今回は2025年8月時点の施設基準情報を反映しています。
【コンテンツのご案内】令和5年度病床機能報告制度に基づく現行の地域医療構想の現状
診療報酬改定等の動向を伝える医療政策ニュース解説ラジオ・ダイジェスト
急性期一般入院料1の増加基調が続く。東京で2施設、山梨・石川等でも1施設の増加
急性期一般入院料1は引き続き増加している。ただ、急性期一般入院料全体でみると2施設の減少となっている。都心部以外でも、山梨、石川、三重、鳥取でも急性期一般入院料1が増加している。病床削減などが進んでいることなど感じられる。令和8年度診療報酬改定を巡っては、拠点的な急性期機能と一般的な急性期機能と新たな区分を設けることとなっている。また、外科系症例中心と内科系症例・高齢者救急中心の区分も出てくる。自院が地域においてどういった機能・役割を担うか、適した入院料はどれなのか、地域医療構想と診療報酬の整合性が徐々に図られていく中で慎重な検討が求められる。
地域包括医療病棟、1施設の取り下げがあるものの、11施設の増加
神奈川で3施設の増加があった一方で、福岡では1施設の取り下げが確認されている。7月は東京でも1施設の取り下げがあった。セラピストや管理栄養士など人材確保をし、実績を維持し続けることの難しさがあるのだろうと思われる。令和8年度診療報酬改定では、DPCのさらなる高度化への純化が進むことが想定されるため、今後新規届出は増えてくることか考えられる。人材確保の観点からも、早めの意思決定と転換に向けた行動が必要だろう。限られた地域では、患者数もさることながら、医療人材も限られている。
参照:DPC/PDPSの4つの検討ポイント。内科系疾患をより反映するための重症度、医療・看護必要度の新たな対応の考え方が示される
看護必要度にも影響を与えることとなりそうな協力対象施設入所者入院加算は増加基調が続く
入院・外来医療等評価分科会において、内科系症例の重症度を精緻に反映できるように看護必要度を見直す方針が示されている。その方針の中で、協力対象施設入賞者入院加算の実績を加味して、看護必要度の評価を底上げする案が示されている。
参照:緊急入院/高齢者救急、協力対象施設入所者入院加算の実績等で看護必要度の評価を底上げする見直しを検討、高額薬剤の使用を理由としない入院受入をどうするか? など
主に包括期入院(急性期一般入院料4-6、地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟)においては、施設や在宅医療を行う医療機関との協力体制が重要になることがわかる。そして、施設にとって数ある協力先医療機関の中から自院を選んでもらうための取組が必要だ。平時からの連携や研修等の支援、専門性のアピールなど考得ておく必要があるだろう。看護必要度で底上げを図るには、優先的に入院先として選ばれる必要がある。
精神科地域包括ケア病棟は1施設の減少
福島と愛知で1施設の取り下げ、神奈川で1施設の増加が確認されている。東北地方は届出は0施設となった。精神科領域においては、急性期と地域生活支援を含めた包括入院に絞込みをしていく方針も検討されており、精神科地域包括ケア病棟に寄せられる期待も大きい。
参照:精神領域の医療提供体制に関する論点が示される。
要件の見直しもさることながら、精神科領域における地域連携のノウハウの蓄積とシェアできる仕組み作りも合わせて必要だといえる。
在支診・在支病、全体で増加しているものの、取り下げる施設も少なくない
在宅医療を提供する医療機関についてみると、在宅療養後方支援病院については3施設の増加の一方2施設が取り下げて差し引き1施設の増加となっている。病床削減などが影響しているのかもしれない。
在宅療養支援病院については、北海道・埼玉・静岡で2カ月連続の増加となっているが、福岡では2カ月連続の減少となっている(取り下げ2施設中、1施設は閉院)。ここにきて、やや頭打ちになってきているのがわかる。ただ、病院から診療所への転換も各地で聞かれるようになってきていることから、今後在宅療養支援診療所としての対応も考えられるのではないだろうか。
在宅療養支援診療所については、増加基調が続く。本年4月から201施設の増加となっている。特に、大阪・兵庫と近畿地区での増加が目立っている。長崎では4カ月連続、大分では2カ月連続の減少となっている。医師の年齢や負担なども原因かもしれない。かかりつけ医機能報告では、地域全体でかかりつけ機能を発揮するべく、役割分担をしていくことが狙いの一つとなっている。かかりつけ医機能報告の始まりを待つことなく、在宅医療をバックアップするための地域連携の仕組み作りは必要になってきていることを感じさせる。