障害者権利条約、初の審査が行われる ~条約という重み、医療保護入院について~

8/16/2022

ニュース解説 経営 精神科 地域包括ケアシステム 入院医療

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 令和4年8月22日より、スイスのジュネーブにて、「障害者権利条約」に関する審査が行われる。この審査では、国連によるもので、日本政府のみならず障害者及びその家族に対するヒヤリングも実施されるもので注目が高まっている。なお、審査の模様はオンラインで視聴できる(参照:【情報提供】障害者権利条約第1回日本政府審査8.22・23オンライン視聴精神障害当事者会ポルケ))


参照

障害児を普通学校へ 15日からスイス「国連権利委」 当事者派遣 日本政府への勧告求める /東京(中日新聞)


2008年5月から条約は発効されているが、日本が条約を批准し、国内で発効されたのは2014年2月から。その批准に先立って日本では、2011年8月に障害者基本法が改正されたのを皮切りに、障害者総合支援法・障害者差別解消法が成立、障害者雇用促進法が改正されている。

そして、この障害者権利条約では、精神科病院での医療保護入院についても取り上げられることが考えられる。条約では「いかなる場合でも自由の剥奪が障害を理由に正当化されないこと」が定められている。ちょうど、本年6月9日、第8次医療計画の見直し(2024年度から)や精神保健福祉法改正(臨時国会提出予定)に向けた議論の場として「地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会」による報告書がとりまとめられたのは記憶に新しい。その内容は、医療保護入院の縮小方針を撤回し(案の段階では「将来的な廃止を視野」とあったが「将来的な見直しを検討」に後退)、虐待に関する通報義務化を見送るものとなった。医療機関、患者及び家族の事情などもあったのかもしれないので、良いとも悪いとも私には言い切れない。


しかし、今回の障害者権利条約に関する審査は重いことを知っておかなければならない。なぜなら、条約は国家間・国際機関との約束であって、憲法に次いで「重い」ものだ。その序列は法律よりも上位にある。今回の審査結果がどういう影響を与えるのか、注目したい。


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