看護職員処遇改善評価料、そもそもの創設理由を考えると今後に不安も

10/15/2023

r6同時改定 外来診療 患者 看護師 急性期 経営 地域医療構想 働き方改革 入院医療

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 令和5年10月12日、第10回 入院・外来医療等の調査・評価分科会が開催され、これまでの看護必要度や地域包括ケア病床等に関する調査結果と分析・検討の結果の取りまとめが公表されている。

参照)

看護必要度の見直し方針が明らかに。急性期一般入院料1は急性期の純化を追求へ

短期滞在手術等基本料と救急医療管理加算、実績に基づいた見直しの方向性

地域包括ケア病床、障害者施設等入院基本料に求められる適正化

この中で昨年10月からの「看護職員処遇改善評価料についての実績報告」と「紹介状なしで受診する場合等の定額負担の実績報告」に関する現状調査結果が公表されているので確認してみたい。


〇看護職員処遇改善評価料による収入と賃金改善、きめ細かなバリエーションが功を奏す

新型コロナが5類に移行することで、様々な補助や診療報酬上の特例が見直されていっている中、あまり話題にならず、個人的に気になっていたのがこの看護職員処遇改善評価料だ。そもそもの創設の理由が「地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、令和4年10月以降収入を3%程度(月額平均12,000円相当)引き上げるための処遇改善の仕組みを創設する」というものだった。故に5類に移行されることで、評価料の減額の可能性もあるのではないかと気になっていたが、現時点ではその様相はなく、むしろ、看護職員だけではなく、幅広いスタッフの賃上げにつながるような新たな評価や入院基本料等の引上げをするかどうか、という方向で議論が進んでいる。そのため、この看護処遇改善評価料の在り方そのものをどうするかが課題になってくる。

看護処遇改善評価料の実績については、おおむね当初目的としている処遇改善に効果を発揮している傾向がわかる。病院の規模や状況に応じたバリエーションが多くあるのが功を奏したように思う。



注目したいのは、評価料による収入以外にも独自の手当て(資格取得や夜勤などに対するものなど)などを利用した賃金改善策を行っている病院では改善効果が高いことがわかる。なお、看護職員処遇改善評価料では、薬剤師を除く主な医療スタッフを対象とできるため、看護職員以外でも評価料を活かした処遇改善を行っている。ただし、看護職員処遇改善評価料という名称からわかるように、看護職員数をベースにした計算式になっているため、賃金引上げ効果は看護職員に比べてやや劣る。しかし、ここでも独自の手当が功を奏していることが分かっている。


ところで、評価料を申請していない病院についてもその理由が明らかにされているが、先に私が述べたことにもつながってくるが、新型コロナ感染拡大に関連した診療報酬ともいえるため、恒久的なものではなく、一度上げた賃金を、もとに戻すことで生じる混乱を懸念している声があることがわかる。


来年度診療報酬改定は、物価高・賃上げへの対応を検討することが約束されている。恒久的なものとするのかどうか、廃止して入院基本料そのものを引き上げるのか、注目していきたい。

〇大病院の紹介状無し外来受診定額負担は外来機能分化を後押し

いわゆる大病院の紹介状無し外来受診定額負担について、外来機能分化に効果があると見えるが、外来受診時定額負担のない医療機関でも外来機能分化は進んでいるように見える。ただ、今回は紹介受診重点医療機関が含まれていない(紹介受診重点医療機関になってから6か月の経過措置を経てからの定額負担の義務化となる)。紹介受診重点医療機関(予定)の調査結果も掲載されているが、他の医療機関に比べて紹介状無し受診患者割合は高い傾向にあることがわかる。


入院医療の適正化が進むことで、患者の療養の場は在宅へと移行し、外来での診療・在宅での診療が中心になってくる。外来機能の重装化とかかりつけ医機能の充足は新たな地域医療構想と診療報酬における重要なテーマになるので、外来機能分化にかかわるテーマは経営の側面からも注目をしてきたい。

なお、令和5年10月13日には「国民・患者に対するかかりつけ医機能をはじめとする医療情報の提供等に関する検討会」が開催され、かかりつけ医機能報告に関する議論も始まっている。


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