「かかりつけ医機能報告制度」、令和7年度からの開始に向けて議論が始まる

10/02/2023

r6同時改定 外来診療 患者 経営 在宅医療 地域医療構想 地域包括ケアシステム

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 令和5年9月29日、第102回社会保障審議会医療部会が開催され、「かかりつけ医機能報告制度」に関する今後の議論の方針・進め方が話し合われた。先の通常国会で改正医療法が成立しているが、その中に「かかりつけ医機能報告の創設」が盛り込まれている。今回の話し合いでは、今後のタイムラインと話し合うべき内容について確認されている。また、かかりつけ医機能については、新たな認定制度や登録制度となるものではなく、地域住民が選択しやすい情報提供を行うことが目的の一つとなっているため、医療情報提供制度(医療情報ネット)の利便性の向上(全国統一フォーマットなど)とかかりつけ医による患者に対する口頭ではなく書面等による説明責任についても今後合わせて検討していくことになっている。


かかりつけ医機能報告制度については、病床機能報告制度・外来機能報告制度と同様に都道府県に対して行うもの。慢性疾患を有する高齢患者や継続的な治療(指定難病等も含まれると考える)が必要な患者に対する医療提供について、医療機関単独というよりも地域全体でどのようにサポートできるか、という観点で整備していくことを念頭に、協議の場を設けて、役割分担をしていくもの。病床機能報告では入院医療の役割分担のため、外来機能報告では重点的に医療資源を活用する外来医療の役割分担のために行われてきているが、今回は地域の日常診療の役割分担と協業のため、といえるだろう。2024年度末で終える現行の地域医療構想の次なる狙いは、外来機能報告とかかりつけ医機能報告による外来機能分化の推進が主たる狙いになるのではないだろうか。



かかりつけ医機能の実効性を高めること、患者自身も重症化予防に活かしていくための議論として、患者とかかりつけ医との関係、すなわち書面等による説明責任についても具体的に話し合われていくこととなっている。外来のクリニカルパスのようにも感じ取れる一方で、将来的な外来診療の定額制などもイメージされる。本年10月から算定が開始される予定の外来データ提出加算なども始まり、外来医療のデータ収集・標準化もできる環境になりつつある。頭の片隅に入れておきたい。


かかりつけ医機能報告制度については、新たに「国民・患者に対するかかりつけ医機能をはじめとする医療情報の提供等に関する検討会(仮称)」を立ち上げることとなっている。さらに、検討会に2つの分科会を設ける。一つは、かかりつけ医機能報告制度そのものについて議論する「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会(仮称)」。もう一つは、医療情報提供制度の利便性向上とかかりつけ医機能に関する情報提供項目について議論する「医療情報の提供内容等の在り方に関する検討会」。


診療報酬改定を挟みながらの議論となるが、やはり気になるのは診療報酬上のかかりつけ医機能を指す「地域包括診療料/地域包括診療加算」「小児かかりつけ診療料」等との関連性。診療報酬上のかかりつけ医機能は単独で機能を発揮するものを評価する者である一方で、かかりつけ医機能報告制度によるかかりつけ医機能は地域全体で機能を発揮するものとなっている。どういった議論になっていくのか注目される。

参考)

かかりつけ医機能、個々の医療機関の頑張りではなく、地域で必要な機能を補完しあうことをコンセプトに。

外来医療に関する評価の焦点② ~かかりつけ医機能を地域で発揮する視点と診療の継続性向上に必要な患者の協力~

公表が続く「紹介受診重点医療機関」、確認しておきたい「連携強化診療情報提供料」の意味。

公的統計、オープン情報の活用③ 医療情報ネット


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