短期滞在手術等基本料と救急医療管理加算、実績に基づいた見直しの方向性

10/04/2023

r6同時改定 外来診療 急性期 経営 入院医療

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  令和5年9月29日、第8回 入院・外来医療等の調査・評価分科会が開催れ、診療報酬改定に向けて、働き方改革・入院医療(地域包括ケア病床、慢性期病床)・横断事項について議論された。ここでは、横断事項について、中でも短期滞在手術等基本料と救急医療管理加算についてポイントを確認する。なお、働き方改革についての解説はこちらから(参照:診療報酬改定は働き方改革を推進できたのか?これからどうするのか?)、入院医療についてはこちらから(参照:地域包括ケア病床、障害者施設等入院基本料に求められる適正化)。

令和6年度診療報酬改定には、地域医療構想を含む医療計画と医療費適正化計画が大きく影響してくる。特に医療費適正化計画では、フォーミュラリ等を活用した後発医薬品の使用促進や抗菌薬の適正使用、化学療法及び白内障手術を入院から外来へ移行するなどの取組が行われ、数値目標が設定される。当然ながら、診療報酬はそうした取り組みを後押しする内容が盛り込まれることになる。(参照:外来医療に関する評価の焦点① ~外来がん化学療法に関する医療費適正化の観点と地域経済に与える影響~)短期滞在手術等基本料の在り方は診療報酬改定では注目されるテーマになる。

短期滞在手術等基本料はこれまでも、DPC対象病院での扱いの見直しや日帰り手術となる基本料1の場合は局所麻酔であれば麻酔科医がいなくとも評価される項目ができるなど見直しが行われてきた(参照:令和4年度のDPC対象病院の係数等が公表。算定ルールの見直しなど確認します。)。その結果、基本料1では眼科の診療等を中心に実施割合が大きく伸びた。4泊5日となる基本料3もDPC対象病院でのルール変更で一時的に減少したが、昨年の対象となる手術等が拡充されて増加している。



今回の議論で課題として挙げられたのは大きく二つ。その一つ目が、基本料1について入院で行われている手術等が少なからずある点について。入院から外来への移行が医療費適正化のテーマの一つでもあることから、外来で実施する医療機関に対する評価について検討されていくことが考えられる。


二つ目は、基本料3の対象手術等で平均在院日数が短縮しているとみられるものが多くあることが確認されていること。こうした在院日数が短縮している手術等についての診療報酬点数の妥当性なども含めて検討を深めていくことになりそうだ。


救急医療管理加算については、これまでも診療報酬改定の都度、議論の俎上に上り、見直しが行われてきた。その結果、加算1の厳格化もあってか、加算1の算定が減少し、加算2の算定が増加の傾向にある。



そうした実績の内容を把握するため、加算2にある「その他の重篤な状態」について、詳細な分析が行われている。その内容をよく見ると、実は救急医療管理加算で明確に対象となる状態もあることがわかった。そこで、重篤の判定基準などを明確にすることなどが考えられるが、臨床の現場においては、対応する医師の専門性やその場の患者の状態にも左右されるところで明確な基準の設定は難しいところ。今後の議論が注目される。


また、対象患者の厳格化について、「意識障害または昏睡」、「 呼吸不全または心不全で重篤な状態」、「広範囲熱傷、顔面熱傷または気道熱傷」では重症度が低いものの算定する場合には「緊急入院が必要と判断した医学的根拠」をレセプト摘要欄に記載することが必要になっているところ。そこで得られた情報をもとに、対象状態をさらに精査し、厳格化していくことが検討されそうだ。





DPC及びデータ提出加算、病床機能報告など昨今の診療報酬改定は収集されたデータに基づき、精度の高い見直しが行われている。データは蓄積されるほどに制度は高まる。しかしその一方で、データに表現できない叙情的なこともあることを忘れないようにしたいところだ。

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