高齢者施設・障害者施設等・介護支援専門員への「超」接近を ~医療・介護・障害福祉サービスの連携の評価~

10/21/2023

r6同時改定 介護保険 外来診療 急性期 経営 在宅医療 障害者施設 入院医療

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 令和5年10月20日、中央社会保険医療協議会 総会(第560回)が開催された。診療報酬に関しては、医療・介護・障害福祉サービスの連携と訪問看護について議論されている。ここでは、医療・介護・障害福祉サービスの連携について資料を基に確認していく。


〇高齢者施設・障害者施設等と医療機関の連携

高齢者施設と一口に言っても、様々な種類がある。医師が常駐している施設(介護老人保健施設や介護医療院など)もあれば、そうでないものもある(介護老人福祉施設)もあるし、医療機関が併設の有無で医療的対応力には差が出てくるといえる。介護老人保健施設と介護医療院の協力医療機関の傾向についてみてみると地域医療支援病院が多く、介護老人福祉施設も同様の傾向にあることが分かっている。また、数は多くないが特定機能病院もある。ここからわかるのは、急性期一般入院料1とのつながりだ。現在、高齢患者の急性期入院や重症度、医療・看護必要度における「救急搬送後の入院」や「注射薬剤3種類以上の管理」等の扱いが議論のポイントになっていることともつながってくる(参照:看護必要度の見直し方針が明らかに。急性期一般入院料1は急性期の純化を追求へ)。



退所後の行き先についてみてみると、一般病床が多いことがわかるとともに、理由として肺炎や尿路感染症などがあがっていることも明らかにされている。



高齢患者の急性期入院や重症度、医療・看護必要度の今後の見直しにも関連する重要な視点だといえる。また、一般病院への入院が要介護度を悪化させる要因になっていることを示す資料も提示されていることから、急性期一般入院料の病床ではなく、地域包括ケア病床などを第一優先とするような流れを作ることや、急性期一般入院料の病床での入院期間を短くするための施策が考えられる。


とはいえ、地域包括ケア病床も今後はサブアキュート型とポストアキュート型と方向性を明確にしていく流れにあり、すべての地域包括ケア病床を有する病院が万全の対応をできるわけではない。そこで、近年増加傾向にある在宅療養支援病院で地域包括ケア病床を有する病院に期待が集まる。特に、実績のある機能強化型在宅療養支援病院に。施設からの電話対応は当然ながら、緊急時の往診の対応力は同じ在宅療養支援病院でも機能強化型は高いといえる。機能強化型在宅療養支援病院の要件に高齢者施設の協力医療機関となることや、施設側においても優先的に機能強化型在宅療養支援病院を選択するような見直しも考えられるだろう。そのために、機能強化型在宅療養支援病院には診療報酬上の高い評価が期待される一方で、実績なども問われる可能性も出てくるだろう。



障害者施設との連携についても確認しておきたい。障害者施設で度々問題として耳にするのは、障害者自ら訴えを起こすことが少ないことや障害の程度が重度であること。また、強度行動障害などを原因とした強い診療拒否もある。そのため、医療機関との早い段階からの施設の職員等との情報共有・連携が重要だと言える。


また、障害者施設には医師が配置されていることもあり、訪問診療を行うことができないという課題もあり、医療の対応が遅れがちだ。高齢人口の割合増加はよく知られているが、当然ながら障害者の高齢化も進んでおり、悪性新生物に罹患する入所者の割合も高まってきている。介護老人福祉施設であれば、末期の悪性腫瘍の患者の場合は訪問診療による評価があるが、障害者施設にはない。介護老人福祉施設同様に終末期の対応に対する要件の緩和や評価、または障害者特有の事情を勘案しての医療依存度の高い障害者への医療的サポート介入を評価する可能性が考えられそうだ。



障害者施設からの退所・入院における一連の流れにおいても、情報共有・連携は重要である。入退院支援加算等において、障害者施設との連携についても注目しておきたい。


入退院支援加算においては、政府が掲げる「孤独・孤立対策」の視点も合わせて確認しておきたい。新たな法律が成立し、各自治体ごとに取組みが始まる。入院中から退院後を見据えて、行政機関やサービス提供責任者などとの情報共有について求められるのではないだろうか。

参照)

孤独・孤立対策推進法が成立~かかりつけ医機能・入退院支援部門を有する医療機関、特に薬局は注目を~

新たな「つながり」の再構築~令和5年版厚生労働白書が公表~


〇かかりつけ医機能の一つとしての介護支援専門員の連携

かかりつけ医機能については、医療法改正に伴い新たに始まるものがある(参照:「かかりつけ医機能報告制度」、令和7年度からの開始に向けて議論が始まる)。それは、特定の医療機関だけがかかりつけ医機能を発揮する、というものではなく、地域をあげて各医療機関で役割分担をして、全体でかかりつけ医機能を発揮していこう、というものだ。一方で、診療報酬では単独の医療機関でかかりつけ医機能を発揮することを評価している。代表的なものが、地域包括診療料/地域包括診療加算だ。主治医意見書の作成や地域ケア会議への参加が求められている。しかしながら、介護支援専門員からは連携に対してやや不満に感じることが明らかにされている。




介護支援専門員としては、医療面での積極的な意見・アドバイスを求めている。その意見・アドバイスを求める場とはサービス担当者会議だ。


サービス担当者会議や地域ケア会議への参加状況をみると、かかりつけ医機能を有する医療機関の割合がかかりつけ医機能を有さない医療機関よりも高いことが分かるが、決して「とても」高いとは言い難い。かかりつけ医機能に関する評価にサービス担当者会議・地域ケア会議への参加や意見表明などを要件に盛り込むことなど考えられそうだ。また、今回の議論では出てきていないが、先に紹介した「孤独・孤立対策」の視点も合わせてみておくべきだろう。

トリプル改定だからこそできる貴重な議論。6年に一度の議論と考えると、もっと意見交換の時間と場があってもよいようにも感じる内容だ。また、高齢者施設との連携については、高齢患者の急性期入院の考え方にも大きくかかわってくることを改めて認識しておきたい。一方で、地域医療連携という観点・かかりつけ医機能という観点からは、情報共有と連携が重要なことは言うまでもないが、昨今のキーワードでもあるACPや重症化対策・再入院防止を目的としたワクチン接種履歴などについても情報共有をしておくことが必要になるだろう。そして、「孤独・孤立対策」の視点も。

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