診療の質と均てん化、負担軽減を診療報酬で後押し~外来がん化学療法と脳卒中診療~

10/19/2023

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 令和5年10月18日、第559回 中央社会保険医療協議会 総会が開催された。総会では、訪問看護に関するオンライン資格確認を令和6年秋から原則義務化すること、訪問診療に関するオンライン資格確認を令和5年12月1日以降から行うことを可能とすることが答申された。また、診療報酬改定に向けた議論も行われており、来年度からの第8次医療計画や第四期医療費適正化計画を下支えするように、外来がん化学療法と脳卒中診療に関する議論が行われた。


〇診察前の薬剤師の関わり~外来腫瘍化学療法診療料について~

第四期医療費適正化計画では、入院から外来へ移行できるものを促進する、ということから化学療法の外来移行に関する取り組みの推進がうたわれている。これまでの中医協等での議論でもそのことについては繰りかえし取り上げてきた。今回の議論からもその点強調されており、外来腫瘍化学療法診療料に関する、外来での実績などを要件に加えることなど検討されていくことになりそうだ(参照:外来医療に関する評価の焦点① ~外来がん化学療法に関する医療費適正化の観点と地域経済に与える影響~)。また、急性期充実体制加算や総合入院体制において入院で実施しているケースが少なからずあることを以前伝えているが、ここでも外来での実施割合などの実績を要件に加えることが検討される見通しだ。ただ、診療科によっては外来で可能なレジメンにも差があることが今回示され(小児科や血液内科は難しい)ていることから、診療科別によって実績に差を設けることなど考えられるだろう。


また今回の議論では、診療の質の面にもスポットを当て、化学療法に関する基準や指針の作成や患者に周知し緊急時の連絡なども取りやすいようにホームページ等で情報を掲示することなどを施設基準等に盛り込むことを検討していくことになりそうだ。



外来への移行が進むということは、療養の場が在宅に移り、日常生活を送りながらの治療となる。そのため、仕事と治療の両立も重要になってくる。職場との連携や24時間対応なども医療機関には求められることが今回も改めて議論されている(参照:外来医療に関する評価の焦点① ~外来がん化学療法に関する医療費適正化の観点と地域経済に与える影響~)。両立支援の実績が少ないことの原因を追究し、要件の見直しをしていくと共に、外来がん化学療法とのセットでの評価がしやすくなるか、注目したい。また、医療費適正化の観点からは、バイオ後続品(バイオシミラー)に関する評価についても気になるところ。



一連の資料の中で個人的に目を引いたのは、診察前の薬剤師のかかわりに関すること。医師の負担軽減にもなること、病院薬剤師を確保するための評価として期待されるのではないだろうか。これまでも、糖尿病診療などの待ち時間を利用した薬剤師外来などの評価についても検討されることがあった。医療計画では薬剤師の偏在指標も設定され、特に病院での薬剤師確保・処遇改善が重要なテーマになることからも注目したいポイントだといえる。



なお、がん領域についてはがん診療連携拠点病院の種別や実績に応じた評価の在り方についても検討していくことが資料からは示されている。がん診療は、均てん化もさることながら「実績」に応じた評価を推進して、質の向上を競う方向にあるといえるだろう。


〇脳卒中診療、遠隔医療の活用を評価に反映を~超急性期脳卒中加算~

医療計画にある5疾病の一つでもある脳卒中については、これまでも診療報酬上で評価は拡充されてきている。今回の議論では、医療資源が乏しい地域においても十分な対応ができることを目的とした見直しについて資料が提示されている。具体的にはICTサービスを使った遠隔医療の導入及び評価だ。現状の「超急性期脳卒中加算」では評価の対象外となっていることから、遠隔医療の導入・利用促進を図るべく、新たな評価について検討されていくこととなる。




トリプル改定であり、医療計画・医療費適正化計画も同時にみなされるのが令和6年度診療報酬改定だ。診療報酬だけに着目するのではなく、その周辺の制度の見直し内容も改めて確認しておきたい。診療報酬とは、制度の下支えと後押し、という役目もある(参照:診療報酬とは、医療計画を下支えするもの~5事業に対する診療報酬での評価の方向性を読む~)。


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