看護必要度の見直し方針が明らかに。急性期一般入院料1は急性期の純化を追求へ

10/05/2023

r6同時改定 急性期 経営

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 令和5年10月5日、第9回 入院・外来医療等の調査・評価分科会が開催された。この中では、「診療情報・指標等作業グループ」による取りまとめが紹介されている。重症度、医療・看護必要度(以降、看護必要度)に関する思いのほか大きな見直しの提案が掲載されているので、その主な論点といえる個所を確認してみる。なお、回復期や慢性期等についても提案がなされているが、こちらはこれまでご紹介してきた通り。

参照)

急性期の集約化と患者像のさらなる純化に向け、看護必要度の見直しと地域包括ケア病床の役割分担を論点に

療養病棟における医療依存度の高い患者を詳細に見極め、診療報酬上の評価を検討へ


看護必要度についてはこれまでも見直しが繰り返し行われ、急性期入院する患者像の明確化・厳格化が行われてきたところ。今回の取りまとめから感じられるのは、急性期一般入院料1とそれ以外に分けた分析がなされている個所が多くあることから、今後の看護必要度については、急性期一般入院料1はより高度急性期に向けて急性期医療の純化を追求し、入院料2等については、高齢患者の急性期入院に注力していくような流れを目指しているように見える。今後看護必要度については、入院料1とそれ以外で点数や項目などもこれまで以上に大きく変わってくる可能性を感じさせる。また、平均在院日数についても見直される可能性が高まっている。入院料1では2日以上平均在院日数が短くなっていることから、現行より2日短縮される可能性がある。また、全身麻酔手術を実施している割合も平均在院日数に影響を与えていることから、入院料1の病院においては注視しておきたい。



A項目についてみると、救急搬送後の入院については横において、注射薬剤3種類の管理も注目されている。急性期一般入院料1とそれ以外で比較した資料が提示されているが、入院期間中に該当し続ける割合が明らかにされている。また、入院日数に応じた主な注射薬剤も示された。入院期間が長くなれば該当する割合が高まり、抗菌薬や抗ウィルス薬などからアミノ酸や糖などの中心静脈栄養に関する注射剤の割合が高まっていく傾向だ。入院期間で点数を新たに設定しなおすことなど考えられる。また、該当日数が長期にわたる場合の理由などを求められる可能性もあるだろう。療養病棟で中心静脈栄養の患者が多いことがたびたび指摘されているが、急性期入院で手を打つことができるような見直しとなることが期待される。



A項目では、呼吸ケアと創傷処置についてもデータが示され、入院料1とそれ以外で差があることがわかった。呼吸ケアと創傷処置については、高齢患者への対応でよくあるものや入院期間が長くなることで該当する項目でもあることから、入院料1ではこれらの項目に対して評価の見直しも考えられるかもしれない。




さらにA項目で注目したいのは専門的な治療・処置にある抗悪性腫瘍剤の項目。以前からお伝えしてきたが、来年度は医療費適正化の一環で入院から外来に移行できるものを推進するという方針の下、化学療法が数値目標も設定して積極的に取り組むことになっている(参照:外来医療に関する評価の焦点① ~外来がん化学療法に関する医療費適正化の観点と地域経済に与える影響~)。この項目も外来移行を促すことになるだろう。また、A項目だけではなく看護必要度全般に関わることだが、短期滞在手術等基本料3について、全国での入院外での実績と病院における入院外での実績に大きな差がある手術等が存在していることが示された。病院での外来移行を推進するべく、実績差が大きい手術等についてのみ看護必要度の対象に加えることなども検討されることとなりそうだ。

 



  B項目についてみると、入院料1とそれ以外の入院初日の状況では傾向が異なることが示された。また、全般的に入院初日に3点以上だった場合は入院中も3点以上となることがあることがわかった。なお、入院初日が0か1点の場合は入院中に3点以上となる割合には差がないこともわかった。





これらのデータから、入院料1においてはB項目による評価を除外することとなりそうだ。個人的にはB項目は患者の状態を表すものとして、連携先との情報共有では有用に使える側面もあると考える。看護必要度の評価には加えないものの、B項目は引き続きスコアリングして、連携の場面で利活用することを評価するなど検討できないかと思う。

C項目については、対象となる手術や当該手術の実施日などについて検討することとなりそうだ。



これからの分科会による案が今後中医協に舞台を移して本格的に議論されていくことになる。入院料1については、より急性期の純化を追求していく方針は明らかに示されていると感じる。果たしてどこまで取り入れていくのか、注目される。

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